映画館で観終わったときには新人兵隊が一人前の戦士に成長していく成長譚(ぎりぎりポジティブ)として捉えていたのだが、家に帰り一晩考えてみるとその逆、人間性を喪失していく過程(ネガティブ)を描いたものかもしれないと思うようになる。
(『フルメタル・ジャケット』のブートキャンプのごとく)
主人公は戦争という経験を経て、マシーンというあだ名を付けられる=戦車のパーツとして完成する。
銃を握ることすらできなかった主人公は、ラスト、銃を手放すことを恐れるようになる。
戦争という人間性が究極的に剥がされる出来事を描いているこの映画で、唯一の救いは主人公を助けたドイツSSの少年のように、人間性を最後まで持ち続けることなのだ。
しかし自分にそんな人間性を持ち続ける強さがあるかと問われると
「ない」
と即答するしかない。
人間性を失わないためには肉体的にも精神的にも尋常でない強さが必要だと実感。