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6/1
前日二ページしかペン入れが進まなかったのだが、ペン入れに慣れてきて今日は五ページ(背景込み)。
エンジンがかかってくると仕事ははやいんだけどなあ。
自分の気持ちをあげるため、夕方あえて回転寿司店へ行く。
6/2
朝がたペン入れ終了。
ずっと原稿を仕上げる。
昼前にいったん仕事を抜けだし病院へ。
夕方、原稿完成。
原稿を編集部へ送った直後に倒れて畳の上で泥のように眠っている。
その後は部屋を片づけたり、旅行の用意をしたり、あいだに映画を鑑賞したり、満を持して朝五時に北海道旅行へ出発。
完璧な布陣で出発したつもりだったのだが…
鑑賞した映画
RED/レッド [DVD] (2012/06/20) ブルース・ウィリス、モーガン・フリーマン 他 |
ヘレン・ミレンがいかにも鼻水垂れそうな顔している。
6/3
徹夜明けで眠い。
電車でうつらうつらしていると羽田空港。
空港でチェックインしてソファーででうつらうつらしていると搭乗時間になり、飛行機に乗ってうつらうつらしている間に新千歳空港。
両親と空港で合流してレンタカーで道東へ、太平洋沿いの道を走る。
雨こそ降ってはいないが地上近くまで垂れこめた雲で海と空の境界線がぼんやりしている。
襟裳岬は灰色で寂しい。
襟裳岬近くの、弟が予約してくれた旅館に泊まる。
豪華な食事が出てきたが母は小声で
「あんまりおいしくないな」
と呟いている。
風呂に入ってすぐ、二〇時に気絶するようにして眠る。
6/4
襟裳岬から釧路へ、北に向かって車を走らせる。
厚い雲の隙間から時折抜けるような青空が覗き、またすぐに隠れる。
昼過ぎ、釧路大湿原に到着。
鈍くぼんやり光る曇天と壮大な景色の果ての境である地平線はずっと霞んでいる。
釧路駅前のビジネスホテルへ向かう。
狭い四畳半の部屋に両親と僕の三人。
窒息しそうだ。
市街地へ食事に出る。
さすが北海道、何も考えずに入った寿司屋でさえイクラウニ丼が美味しい。
店から外に出ると一筋先の曲がり角すら見えないほど濃い霧に覆われている。
釧路は映画『ミスト』のようだ。
四畳半二段ベッドの上で熱気が上にこもって眠れず、一晩中、僕は下着で寝返りを打ち続けている。
6/5
釧路を出て東へ、根室半島を一周する。
納沙布岬は風が強く、何もない。
根室半島の復路で父と衝突、ここ数年ない大喧嘩。
それは道の駅で両親と僕、三人で食事したことから始まる。
僕は両親より先に食べ終わった(僕のぶんの食事だけ早く届いた)ので、食堂を出て一足先に車に戻った。
車で待っていると、すぐに母が戻ってきたが、父はいつまでたっても現れない。
母曰く、父は母より先に食堂を出たとのこと。
一〇分ほど車中で待ってから、母は父を心配して探しに出た。
直後、母とすれ違いに父が車に戻ってくる(郵便局に寄っていたとのこと)。
母はそれを知らず、道の駅の中で父を探しているのでなかなか帰ってこない。
しびれを切らした父が「母を探してこい」と僕に言う。
次は僕が、母を探しに道の駅へ行く。
道の駅を一周しても母が見つからないので車に戻ると、すれ違ったのか母は車に戻ってきている。
そして「お前ら何やってるんじゃ」と母と僕に怒りをぶつける父。
何で怒られなければならないねん?
父が帰ってくるのが遅れて母が探しに行った、その母を僕が探しに行った…
もともと原因は父が黙って近所の郵便局へ行ったせいじゃないのか。
我慢できず僕は切れてしまった。
「お父さんが遅いから心配して探しに行ったのに、一言『遅れてごめんな』もないのか。しかもこういうことは今回だけでなくいつもじゃないか。どうして自分を待っている人に心遣いができないのか」
すると父は激怒。
「何が心配じゃ! お前こそ俺が運転してやっているのに今日も当然のことやと思って何の気遣いもなく感謝の心もないやないか! だいたいお前は今まで俺が働いていたことに気遣ったことがあるのか」
と一般論化してしまった。
「お前らに謝ることは俺は何もしてへんぞ」
とへそを曲げてしまった。
知床半島を抜ける壮大な道を走っている間も車内は無言。
最後に父は謝ってくれたが…
自分が父親に対して言ったこと、父が普段思っていたこと…が頭の中を回り、僕は無口になる。
夕方、知床の天然温泉で有名な旅館に到着。
玄関を入るといきなり茶の間、洗濯物がぶら下がっている。
ゴルフスィングをしているタヌキの剥製が鎮座している。
庵野監督が髭と髪を剃ったような三〇代の男性が無言で部屋へ案内。
(後で旅館経営者の息子と判明)
通路は雨漏りで天井と床に穴、壁に人型の大きなシミ。
ボットン便所。
風呂は確かに天然温泉だったが、壁は腐食され穴があき、湯の中のナトリウムが沈殿して出来た奇妙なオブジェが床や至る所に盛り上がり、さながら鍾乳洞のよう。
もちろんシャワーは錆び切って蛇口が回らない。
旅館の主人曰く、息子が後を継がないと言っているので改修せずにいるんですよ、とのこと。
客は僕の家族だけ。
ただし夕食の刺身は非常に美味しかった。
そんな旅館の入り口にもAKB48のポスターが貼ってあり、その浸透力に感心する。
6/6
馬の嘶き声で目覚める。
窓の外を見ると、昨日はいなかった隣家の子ウマが旅館前の空き地につながれていて草を食べている。
両親と旅館の近所、藻琴山というところにある芝桜を観に向かう。
その後、両親はレンタカー返却&特急に乗るので網走駅へ、僕は網走監獄博物館へ。
初夏の暑さ、博物館は山からカエルやヒグラシの大合唱。
売店で「逃げるが勝ち!」と書かれたTシャツ、「網走刑務所から帰りました」「脱獄囚まんじゅう」等のお菓子を見て不謹慎に思う。
博物館前の停留所で網走駅行きバスを待っているがいっこうに来ない。
時刻表をよく見ると博物館から網走駅行きは六月八日より運行とのこと…あと二日やったんやけどな。
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