こんな本を読んだ!」カテゴリーアーカイブ

本を読むことはあまり得意じゃないのですが、頑張って読んでいます。
 
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【本】『手塚治虫エッセイ集(1) 手塚治虫自伝』手塚治虫

鉄腕アトム』がアメリカで大ヒットし、ウォルト・ディズニー氏と会い、人生の頂点で自伝はいったん終わっている。
その後の虫プロ倒産からの『ブラック・ジャック』の成功による復活を経た手塚氏の自伝を読んでみたいところ。

作風の広さは、幼い頃からの好奇心旺盛な気質を反映したものだろうか、落語、演劇、昆虫、映画、医学、漫画、アニメーション……手塚氏は実にいろんなものに興味を持ち、手を出し、それが漫画に反映されている。
人生において何でも無意味なことはないのだ、と力づけられる反面、手塚氏ほど情報処理能力が高いからこそ役に立ったわけで凡人である自分は無駄なことは無駄……と思ったり。

【本】★『みずは無間』六冬和生

みずははあくまでも象徴としての存在で、直接物語に絡んでくるわけではないのな。

何が起こるかわからないこういう物語だから、意識や記憶という概念は、現実のみずはと何処かでつながっていて、何らかのSF的トリックでみずははずっと生き続けていて、最後は主人公と彼女が再会する、みたいなハッピーエンドを想像していた。
ところがこういう物語にも関わらず、最終的なこの小説のリアリティラインは意外と高かった。自分が思っていたよりはるかにシビアな結末になってしまい、ちょっと不思議。
好きな部分、そうじゃない部分も含め、実にオリジナルな小説。
実はこうなんじゃないのか? いやこうくるのか……と展開を読んだりや裏を邪推したり、刺激的で、知的な遊びを楽しむことができた。

【本】『手塚治虫のえほん館(全4+別2)』手塚治虫

『もえよドラゴン』
『ねずみじょうど』
『空とぶラビ』
『かわいそうなぞう』
きわめて項数の少ない短編のオムニバス。それぞれあまり共通項がない。
人を喰ったような、絵と関係のない字だけのどんでん返しで唐突に終わったり、どういう意図か理解に苦しむものもある。

別巻について
『びいこちゃん』
『ビス・ビス・ビス星ものがたり』

『びいこちゃん』は五八年、『ビス・ビス……』は六三年頃で手塚氏の比較的初期の作品。
びいこちゃんは単独の読み切り絵本としては最も完成度が高い。絵の具が色あせているところ、が妙にノスタルジックな気持ちをかきたてさせる。
『ビス・ビス……』は前半は普通にSF風絵本だったのに、後半は『ハトよ天まで』や『オズマ隊長』のような絵物語に作風が変わる。ほぼ普通の漫画、カラーですらない。ところがラストはまた冒頭のような絵本に戻る。時間かページ数の都合? 
ひねりがあって起伏に富み、手塚氏の絵本の中では一番僕好み。

【本】『あなたの1日を3時間増やす「超整理術」』高嶋美里

ビッシリ改行がない長いプロフィールをカバーと奥付の二箇所、同じ内容が貼り付けられている。おそらく著者の知ってほしい物語なのだろうけど、自画自賛臭がすごい。
今までの時間術、整理術の中でここまでデジタル化について言及している書籍は少ないのに、「財布に会員カードが大量に入っている状態は、財布の中が整理されていない状態であり、金運も下がります」のくだりのアナログ臭に転びそうになる。
ちなみに「私のアドバイスでこれを行った受講生さんは、翌年金運が上昇して、貯蓄が200万円増えました」とのことだが、そんなことイチイチ報告に来る人が本当にいるのだろうか。もしいたとして、収入が上がったことと財布の中を整理したことを関連させる人って、どうなんだろう。

メモ:
1:デスクの整理
●机の中に入れていい文房具は20個まで。(何処に何があるか把握できるように)
●持ち運ぶセットを作る。(透明なメッシュのポーチ)

2:書類の分類
●今日やること 
●五分でできること
●期日があること
●期限がないこと
四つに分けてケースに入れる。

●今日やることは毎日空にする。

●五分でできることリストを作って隙間時間にどんどんやる。

●期日があることは、期日ケースに入れてすぐ忘れる。(自分で設定する早めの期日)

●期限がないことフォルダのものは、定期的に半日以上のまとまった時間をとって整理。

3:紙のデータ化
●名刺はスキャンして全部捨てる

●その場ですぐ整理する。

5:データの分類
●ルールにしたがってフォルダを作る。

●ファイル名には検索ワードをすべて盛り込む
140712ミリオンナックルズ

●整理できなフォルダはとりあえずフォルダに、一週間に一度、スケジュールに組んで整理する。

……………………………………………………

●データの索引を作る

●定型化で時間を生み出す
メールは定型文→短文登録

●雑務は全て隙間時間に終わらせる。

●整理された状態を習慣化すること。
一日の終りに状態をチェック→一日の始まりもする仕事をチェック

●時間を決めたら絶対に先送りしない。

【本】『時間の波に乗る19の法則』アラン・ラーキン

クリントン元大統領がこの本を読んで夢を叶えたとあとがきに書いてある。それは最高の賛辞だ。僕もアメリカ大統領になってブスな実習生とHしたい。

独自のルールが多く、なかなかに実行は困難。もっと余裕のあるときに読みなおそう……

【本】『脳に効く「睡眠学」』宮崎総一郎

冒頭から滋賀医大の「睡眠学」を推している。

メラトニンは睡眠を促す効果のほか、性的成熟を抑制するはたらきもある。北極圏のエスキモーは昔、冬場に月経が止まっていた。春に生まれる子供が多くなるので生き残る確率が高くなる。
メラトニンには抗癌の作用もある。先進国で夜間に働いている女性の乳ガン率、発展途上国の四倍。
メラロニンはトリプトファンで作られる。
トリプトファンの多い食材は、納豆など大豆加工食品、乳製品、ナッツ、魚、肉、鶏卵、バナナ……朝食で摂取することが夜のメラロニン分泌に最適。

メモ:
●学習の後になるべく早く睡眠をとる。その後に気分転換にテレビを観たりすると忘れてしまう。

●夜に明るい画面を見ていると交感神経が刺激されてしまう。

●仮眠を一五分以上とらない。

●昼寝は二時から四時の間を狙う。逆に一九時から二一時の間はもっとも交感神経が活性化しているので眠れないし、眠っては駄目。

●寝る二時間以内の時間に激しい運動をすると眠りを妨げられる。

●夜遅く食事を摂ると体温が上がり、睡眠を阻害する。

『睡眠の質を高める七つの習慣』
1:「眠る時間」より「起きる時間」にこだわる

2:部屋のカーテンを一〇センチ開けて眠る

3:朝食と昼食を一日のスケジュールから外さない

4:テレビニュースは朝に見る

5:夜遅い食事は少なめに摂る

6:眠たくなってからベッドに入る
(※睡眠薬を飲んだ場合には、すぐに床に入る)

7:それでも眠れないときは、軽いストレッチ

【本】『成功する人の時間術―人生を変える5パーセント効率化のすすめ』ユージン・グリースマン

成功する人というか、成功した人にしか許されない方法が多い。

秘書がブロックしてアポイントが取りにくい相手には早朝、あるいは深夜、秘書がいない時間に電話をかけましょう。
……相手は余計気を悪くしないか心配だ。

面談が終わりだ、と思ったときは途中で後ろを向いて自分のデスクに向かう。
「私は、後ろを向くことで、会話を切り上げようとします。不作法にするつもりはないのですが、あえてそうするのです」
……ちょっと自分にはそれが許される人間関係が想像できない。

ただ、目標が曖昧なままだと成功から遠ざかる、ということは心に留めておくべき。

【本】『アジア三国志』ビル・エモット

日本人や中国人、韓国人のアジア観は読むことが多いけれども、欧米の知識人が日本を、そしてアジアがどう捉えているのかはあまり目にしてこなかったので、大変興味深い。
上から目線が大変気になる。さんざん世界を破壊してきたイギリス人のくせに。

中国について
これからすっと巨大になり、大きなミスをしない限りその勢いが止まることはない。
中国政府の求心力はイデオロギーではなく、経済発展。

日本について
すでに老境の域に入っている。
バブル時代は日本は必要以上に自分を大きく見せていて、今が相応の地位。
歴史修正主義者に注意しろ。もっと歴史を直視して、ドイツを見習え。

インドについて
矛盾に満ち混沌としているが、少しずつ未来へ向かって前進している。
ただしあと五〇年は中国に追い付くことはできない。

韓国はアジアのノイズにしか過ぎない。他のアジア諸国も同じく。

【本】★『何者』朝井リョウ

自分はTwitterに関してあまり積極的でないし、周囲の人々が別アカウント作ってまでつぶやいていることに違和感を持っている。
アカウントを作ることによって自分とは違う何者かになりたい、という気持ちはわからなくもないのだが……そこまでしてコミュニケーションとりたい相手がいない。友達を渇望していない。

気持ちがわかる、わからない、がグルグル回っている。

ラスト周辺、創作者として自分に跳ね返ってくる言葉が多い。
何かしようとしている人を揶揄するのはよくない、というのも原則としてはわかるのだが、そうなってくると何も言えなくなるわけで……言うのなら創作者として跳ね返ってくることを覚悟して正々堂々と言え、ということか。小林よしのり氏みたいに。

【本】★★『脳の時間割』築山節

著者の『脳が冴える勉強法―覚醒を高め、思考を整える』をサラリーマンの一日のスケジュールで例えてマニュアル化したもの。

メモ:
●音読……朝の習慣としてお勧め。目から入力した情報を口から出力することで、情報を自分の中に刻みつける、脳の準備運動になる。

●脳を元気にする食事“まごたちはやさしい”
ま……豆類大豆や枝豆とか豆腐
ご……ごま、木の実類
た……卵類
ち……乳で乳製品
は……ワカメ・海草類
や……野菜、果物
さ……魚、貝、肉類
し……しいたけ、キノコ類
い……芋類

●仕事の前に机の整理

●脳の活動のピーク
朝一一時と夕方四時から五時→難易度が高い仕事を当てる。

●仕事のスタートは難易度の低いものから→
スムーズに進めるほど脳は喜ぶ。

●仕事にはひとつずつ、締め切りを設定する。

●五〇分働いたら一〇分休むリズムを作る。

●脳を上手にだます→作業、勉強するときは「これは自分に役に立つ」と考えるようにする。

【本】『賢者の石』コリン・ウィルソン

この物語には筋らしいものはほとんどない。
主人公の思考の流れを追っているだけ。ここで起こっていることは全て主人公の主観から見た出来事なので、事実かどうかはっきりしない。
行く手を阻む巨大な力と主人公は対峙するが、それ自体全てが主人公の妄想に過ぎないかもしれないのだ。 
もっと言うと、そこまで見越して著者が書いているのか、その本気度すらも推し量ることができない。
奇妙な、しかし一生に何度も読むことができない、途方もないとしか言いようのない小説。

【本】『誇りある沖縄へ』小林よしのり 企画・編著

沖縄の平和運動のその偽善について。
小林よしのり氏の思想の是非はともかく、自分の頭で考えて行動するところは尊敬できる。
宮古島の旅館の本棚にあったということは、宿の人が読んでいたということなのか。この本を読んでどう思ったのか聞きたいところ。

沖縄とひとくくりに言っても、沖縄本島、宮古諸島、八重山諸島ではアイデンティティが異なり、たとえば八重山諸島のなかでも石垣島と与那国島、波照間島など島ごとに豪族が覇権を争っていた……ってフラクタル理論
http://ja.wikipedia.org/wiki/フラクタル
みたいな話だなあ。

【本】『黄色い鼠』井上ひさし

オーストラリアに住む邦人が、戦中の日本人収容所虜囚の手記をもとに小説に再構成した……という体の物語。
この小説を書いた当時、作者の井上ひさし氏がオーストラリアに移住していたことをあとがきで知る。それを踏まえると井上氏が実在した手帖をもとに再構成したノンフィクションという設定のメタフィクションなわけで、あとがきから読んでいたらより楽しめたのに、と残念に思う。

異郷の地で日本人とは何かを考える主人公。
フランス人ならフランス語、ユダヤ人なら宗教……日本人は?「答えはたぶん〈同じ血〉だ」
井上氏もオーストラリアで日本人とは何か考えたのだろう。僕も宮古島からさらに離島へ向かうフェリーの中で、日本人とは何かと考えながら読み続ける。

アボリジニの死生観が興味深い。双子はカンガルーなど他の動物の魂が間違って入ったもの。間違えて入った赤ん坊を間引きする。
捕食したもの、殺したものに生まれ変わる。
蛇に噛まれて死んだら蛇に、太陽に灼かれて死んだら太陽に、自殺して死んだら本人(人間)に生まれ変わる。

そして僕にとって日本人とは何か、自分にはまだ現実感がなく、わからない……

【本】『レ・ミゼラブル』ヴィクトル・ユゴー

この本には思い入れがある。小学四年のクリスマスにサンタクロースが枕元に置いてくれた本、そして僕が文章で書かれたもので初めて泣いた小説だ。
去年、ミュージカル映画化されたものを観て恥ずかしいぐらい映画館で号泣してしまったが、どうして自分がここまで感動したのか考えたところ、映画の短い尺で感動したとは思えず原作を読んだ記憶を呼び起こさせられて泣いたのではないかと疑い、実家から持ってきた。
改めて読みかえすと忘れていた記憶がよみがえる。ジャン・バルジャンが幼いコゼットの服を抱きむせび泣くシーン、小学生の僕はここを読むたび泣いたのだが、今回も鼻の奥が刺激されて涙腺が緩む。
このぐらい思い入れが強いと、映画どころか、いま感動して泣いているのか、泣いていた自分を思い出して泣いているのか、もはや客観的に判断できない。
芳醇な物語世界に酔う体験なんて人生でそう何回もあるわけでない。こういう思い出は大切にしたい。