【本】『手塚治虫のえほん館(全4+別2)』手塚治虫

『もえよドラゴン』
『ねずみじょうど』
『空とぶラビ』
『かわいそうなぞう』
きわめて項数の少ない短編のオムニバス。それぞれあまり共通項がない。
人を喰ったような、絵と関係のない字だけのどんでん返しで唐突に終わったり、どういう意図か理解に苦しむものもある。

別巻について
『びいこちゃん』
『ビス・ビス・ビス星ものがたり』

『びいこちゃん』は五八年、『ビス・ビス……』は六三年頃で手塚氏の比較的初期の作品。
びいこちゃんは単独の読み切り絵本としては最も完成度が高い。絵の具が色あせているところ、が妙にノスタルジックな気持ちをかきたてさせる。
『ビス・ビス……』は前半は普通にSF風絵本だったのに、後半は『ハトよ天まで』や『オズマ隊長』のような絵物語に作風が変わる。ほぼ普通の漫画、カラーですらない。ところがラストはまた冒頭のような絵本に戻る。時間かページ数の都合? 
ひねりがあって起伏に富み、手塚氏の絵本の中では一番僕好み。