備忘ログ」カテゴリーアーカイブ

あんなことこんなこと、本や映画や夢や食べ物のことなど、様々な日々の出来事を記ログしています。
数年前から物忘れがひどくなってきて、何でもかんでもメモしないと不安になってきました。
ここは僕の第二の大脳皮質、記憶を司る場所です。

【本】トルーマン・カポーティ『遠い声 遠い部屋』

ところどころ文意が混濁して(少年の内面を表している)わからなくなるが総意は理解できたと思う。
初期短篇集と同じく僕は『冷血』より断然こちらの作風のほうが好き。

父の自分への無関心と自分の執着、田舎に対する郷愁と恐怖……ノンフィクション小説である『冷血』にまで登場するモチーフが見え隠れする。
カポーティ氏は澱のようにこびりついた過去の自分を振り払うことができなかった。
見えない部分でずっとそれは残っていたのだ。
『冷血』でそのモチーフが殺人犯の人格として顕在化し、その凶暴さに飲み込まれていったように見える。

主人公がヒロインのアイダベルと幸せになる展開はなかったのだろうか。
彼女が送ってきた葉書を読み返すたび、僕の自分の奥底の少年とつながっている部分が鷲掴まれるように痛む。
ここでアイダベルに興味を失う主人公の姿がカポーティ氏自身と重なってならない。
(アイダベルには実在のモデルがいたという)
きっとアイダベルとそのまま添い遂げていたなら、カポーティ氏はこの小説を書いていないだろうし、そもそも田舎を出て都会で小説家になることはなかっただろう。
都会を夢見ながらも、少年の延長線(イノセンスを残したまま)に田舎で暮らしていただろう。

これは、彼女を失うことによって得た物語だ。

【日記】15年07月24日(金) 体重59.9kg

キリストが十字架にかけられる曲(マタイ受難曲)をかけるところから僕の一日が始まる。

四時四五分起床。
目覚めが悪い。ずっと朦朧としている。
五時六分より公園を三九分ジョギング。
The Alan Parsons Projectのアルバム『Pyramid』を聴きながら走る。
統一感があるのにバラエティに富んでいる。
ボーカルの透明感ある声、気持ちいい。

朝八時に家を出て真夏の太陽の下自転車を漕ぎ、八時四〇分からユナイテッド・シネマとしまえんで映画鑑賞。
一〇時四〇分に映画館を出て自転車で下井草の図書館へ、帰宅すると一一時半。
昼食を作って食べ終わると一時半。
午前中何も為すことなく時間だけが過ぎていった。
午後読書をはじめ夕方までかかりようやく一冊読了。
時間の使い方を直さないと何になることもできない……

二二時就寝。

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【日記】15年07月25日(土) 体重60.4kg

フランス人に、慣れない英語のメールを書く。
「I want to clim mount Fuji !!」
と送ってきたメールに対し
「I think you need the shoes to walk a mountain.」
と返事。
(登山靴が必要だと思います、のつもり)

四時四五分起床。
今日は一段と粘度が高い眠気、布団から出ても意識が途切れがちで行動できない。
眠気を洗い流すため念入りに身体の裏表に熱湯シャワーを浴びる。
それでも完全な目覚めといかず、朦朧としながら足をもつれさせ家の外にでる。

五時三〇分より公園を三〇分ジョギング。
地平線まぎわの雲間から朝日が見え隠れしている。
太陽が高さを増すと急に暑くなってきたので、逃げるように帰宅。
The Enidのアルバム『Aerie Faerie Nonsense』を聴きながら走る。
古臭くダサく思えて仕方ない。
(同じくプログレのCamelからも似たような古臭さ感じた)
当時からこの野暮ったさ込みの魅力だったのか、それとも時間とともに魅力が劣化してしまったのか……好みも時代も離れたところにいる僕には判断できない。

ジョギングしてシャワーを浴び食事をして仮眠をしてもまだ眠気が取れない。
コーヒーを飲んだうえカフェイン錠を摂取して、ようやく眼が覚めてくる。
しかし身の回りのことに忙殺され仕事まで手が届かない。

一一時半に家を出て、一二時一五分からユナイテッド・シネマとしまえんで映画鑑賞『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』。
一四時四〇分映画館を出ると外の熱気に立ちくらみを起こしそうになる。
池袋線豊島園駅から池袋へ、新大塚の図書館で本の返却貸出。
移動する時間の紫外線で肌が痛い。
一五時半に新大塚駅前のマクドナルドで昼食をしてからJR大塚駅まで歩き、都電荒川線に乗車して早稲田駅へ、さらに一〇分ほど歩いて早稲田奉仕園に到着……ここで読書会に参加。
課題図書はトルーマン・カポーティ『冷血』。
カポーティ関連の書籍や映画に目を通し満を持して臨んだ(つもり)。
ノンフィクション作家としてカポーティを捉えるのと、それ以前の作品を知って捉えるのは大きな違いがあると感じる。
懇親会は自分のコミュニケーション力不足により、周囲の人々とあまり交流できず残念に思う。
二二時過ぎ帰宅、午前〇時半就寝。
人と会った日の夜はリズムが狂う。
思い出を反芻していると眠れない。

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【日記】15年07月26日(日) 体重60.2kg

僕のコミュニケーション力を人工知能の力で何とかして欲しい。

八時起床。
前日の記憶を反芻してひどく憂鬱、自宅で何もできずに呆然として過ごしている。
真夏の太陽の下を外出、一五時から池袋のルノアールで読書会に参加、課題図書はグレッグ・イーガン『ゼンデギ』。
さすが人気作家だけあって、会場外から椅子を借りてこなければ座れないぐらいの盛況ぶりだ。
この手の小説は自分にとって鬼門、皆の話を聞き意味を確認しながらまた自分の中で考えを整理し直す……を繰り返す。
人工知能についての小説。
懇親会、自分のコミュニケーション力不足であまり周囲と話すことができず、虚空の一点を見つめボーっとしている。
その場からいたたまれなくなってトイレに駆け込み、過呼吸気味な自分を落ち着かせる。
また会席に戻り、何度か読書会で会ったことのある人と話をする。
多人数より、対面で二人あるいは三人ぐらいで話すほうが気持ちが楽だ。
二一時半帰宅、〇時半就寝。
今日のことを反芻していると眠れず、明け方まで布団の上でいやな汗を流し続けている。

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【本】佐藤優『読書の技法』

「功利主義者なので、無駄な読書はしない」という佐藤氏の言いようにのけぞる。
全て何かを得るためだけに本を読むって逆に難しすぎる。

この世界は何か目的があってデザインされたわけでないので、どんな行動をしても生きていく限り何処かしこに無駄が生じる。
睡眠時間も無駄だし、食事も無駄だし、服を着ることだって無駄……しかし人間は無駄そのものに楽しみを見出すことができる。
だから、佐藤氏の言う「無駄な読書はしない」は、自分にとっていま無駄に思えるものを読んでも結果的には役に立つこともあるので無駄な読書などない……そんな遠回りな言い回しかと僕は思った。

だが読み進めていくうちに、佐藤氏が目的以外の読書は結構真剣に無駄だと考えていることに気づく。
(その禁欲的な姿勢が修行僧を連想させ、佐藤氏がプロテスタント神学を学んでいたことの関連性を考える)
そういう無駄をしないための『読書の技法』なら、僕は根本的に佐藤氏と考えが噛み合わない。
僕が今まで携わってきた漫画は娯楽(無駄なこと)が目的で、直接的に人に役に立つことではない。
逆に言えば、完全に役に立たないことばかり作ることも難しい。

ということで功利的な目的半分、娯楽半分ほどほどなバランスでこの本を読む。
佐藤氏の勉強法など腑に落ちるところもあったので、この本から学ぶことにする。

【日記】15年07月27日(月) 体重59.6kg

明け方、うとうとしながら天井を見つめていると木目が人の顔に見えてくる。
「お前なんか人間のクズだ〜」
木目が僕を罵倒し始めたので慌てて寝室から飛び出す。

八時起床。
ずっと朦朧としながら記憶を何度も遡り繰り返しているあいだにどんどん鬱になっていく。
午前中買い物に出るが、財布の中の手持ち金が思いの外少なくてカゴに入れた商品をレジで戻す。
絶望的な気持ちになって帰宅。
夕方に精神状態が若干ましになってきたので、部屋掃除などやらなければならない身の回りの些事を始める。
しかし、今日中に終わらせなければばならない仕事にまでは到達できなかった。
余力を残したまま早めに布団に潜り込む。
二二時就寝。

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【本】SSIブレインストラジーセンター (編集)『図解・マインドマップノート術』

この書籍で紹介された一〇年前(二〇〇五年)の勝間和代氏がちょっとアダルトな魅力なメガネ女子だった!
(鼻の穴横広がり女子なことは今と変わらず)

最近、発想法、メモ術の一つとしてマインドマップを使っているが(この文章もマインドマップでまとめた)、この書籍はその手のマインドマップ入門書の中では一番わかりやすい。

いろんな人が描いたマインドマップが載せているので、
どういうことを守ればいいか、
あるいはルールを厳守しなくてもマインドマップ的な思考をすればいい、
そんなことがわかった。

マインドマップはある方向に思考を展開していくことには優れているが、
文章を作ったり、ナナメの発想をジョイントすることには優れていない。
あくまで発想のきっかけ、補助ツールの一つ。
マインドマンプは万能でない。
マインドマップに縛られない考えかたもするということ前提でマインドマップを使わなければならない。
そもそもマインドマップは描いた本人以外には、どういう論理で展開していったのかつながりがわかりにくい。

この本はマインドマップを学ぶには良書。
(逆に言えばこの本の評価は、読んだ人がマインドマップをどの程度使いこなせるかで決まりそうだ。)

【日記】15年07月28日(火) 体重59.3kg

練馬で話題のスイーツ、ねりまのきゃべつ。
餃子のタレ皿にのせて食べる。

四時四五分起床。
どんより濁った意識、頭も身体もなかなか動かない。

五時八分より公園を三〇分ジョギング。
地平線近くにみえる朝日が眩しい。
地面に目を向けると樹にたどり着くことができないセミの幼虫が舗装路でもがいている。
僕は拾い上げ、そっと樹の幹に添える。
Magmaのアルバム『Kobaia』を聴きながら走る。
好きな部類に入るバンドだが、個性が強すぎて個々の曲の差がわからない。

……今日は日常の些事に追われて何も為すことができなかった。
二二時就寝。

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【日記】15年07月29日(水) 体重59.8kg

樹にたどり着くことができなかったセミの幼虫が舗装路で脱皮をはじめている。
羽根がしわくちゃになり、踏み潰され、アリに運ばれ……
(あとちょっとが我慢できなかったんやな)
幼い頃、ウンコを我慢して家に向かっている途中で力尽きもらしてしまった自分を思い出す。

四時四五分起床。

五時二一分より公園を二七分ジョギング。
空はイワシの腹のようで、日の出は確認できない。
朦朧としながら走る。
走っていてもなかなか目覚めないので無理をせず短いコースを走る。
舗装道でひっくり返ってもがくセミの幼虫をそっと樹の幹に添える。
この仕事がもはや本業になりつつある。
Magmaのアルバム『Kobaia』を聴きながら走る。
昨日に引き続き聴くが、やっぱり曲を区別することができない。
個性がつよいということも考えものだ。

昨日に引き続き、今日も日常の些事に追われて何も為すことができず。
先が不安で常に情緒不安定だ。
二二時就寝。

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【日記】15年07月30日(木) 体重60.3kg

夕暮れまでセミの写真撮影で近所をうろつき回っていた。
僕が近づくとセミがぼとぼと樹から落ちていく。
……そこまでセミに嫌われたのか!
腕に携帯用電池式虫よけ器をつけていたことを帰宅してから思い出す。

四時四五分起床。

五時四分より公園を三六分ジョギング。
羊のようなモコモコがぶら下がって空が覆われている。
The Moody Bluesのアルバム『Days Of Future Passed』を聴きながら走る。
何度聴いても映画音楽みたいな印象が消えない。
高原が舞台のドラマを観ているようだ。
ホルンが空に響き、霞む空が次第に明るくなり、緑が輝きを増し……
そんな映画のワンシーンのつもりで走っている。

午後、文章作業を終え原稿作業に入ろうとしたらもう力尽きている自分がいる。
二二時半就寝。

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【日記】15年07月31日(金) 体重59.5kg

ブスと結婚するぐらいなら死んだ方がマシや!
と叫び続けましたが、
ついにその考えをあらためなければならない時期がきました!
(答:ブスに土下座)

四時四五分起床。

五時二七分より公園を三七分ジョギング。
雲ひとつない空、僕は引け目を感じ避けるように木陰の下へ逃げ込む。
The Moody Bluesのアルバム『童夢』を聴きながら走る。
このアルバムの曲は家の外で聴くといい。
夏の朝の始まりにしっくり来る。

強い日差しのした家を出て自転車で大泉学園駅前へ、一一時から歯医者の診察。
一年半、同じ歯の治療を続けている。まだまだ続きそう。
マクドに寄って一二時半帰宅。
午後から仕事を始めるつもりだったが、暑さと部屋の散らかりで集中できない。
洗濯と食器洗いと部屋掃除を終えた後、資料を読んでいる……やっぱり集中できない。
一八時からDVDで映画を観始めるがそれにも集中できず、やむなく本を読みだすがそれにも集中できず、近所のコンビニへ行きお菓子を買い貪り食う。
堕落した生活で魂が汚れていく。
二二時就寝。

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【日記】15年08月01日(土) 体重60.3kg

何時間寝ても眠いので、けっきょく睡眠時間というより僕が朝に弱いということなのだ。

四時四五分起床。

五時四分より公園を二九分ジョギング。
地平線ぎりぎりに真っ赤な太陽が浮かんでいる。
最悪の体調、歩くよりも遅いスピードで走る。
老人や主婦が歩いて僕を抜いていく。
This Heatのアルバム『Deceit』を聴きながら走る。
よくわからない。

午後は読書そして漫画のネーム。
一六時外出、サウナのように熱気が身体を包み込む。
新大塚の図書館に寄ってから四谷へ向かい、クロッキー会に参加。
どう形をとるか線を引くか考えながら手を動かしていると途中で頭が痛くなってくる。
線も形もヘロヘロ。
あと何十年続けたら自動的に手が動く領域に入るのだろうか。
漫画家や画家がよく言う「絵を描いていて楽しい」ゾーンなんて滅多に入らない。
いつも無理して絵を描いている。
ほんのたまに、一年に何回か絵の中に入り込んで恍惚が訪れる瞬間があるが、それのためにその数百倍、数千倍の苦痛の時間をすごさなければならないのは馬鹿げている……と、我ながら思う。
二二時帰宅、二三時就寝。

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【本】ラディゲ『ドルジェル伯の舞踏会』

僕には、一九二〇年代と言う時代か、フランスという場所か、ラディゲ氏という作家の個性か……そのどれが理由かわからないが、どこまでが意図的なのかわからなかった。
物語が心の動き中心に描かれてはいるが、リアリティを感じることができず観念的に思える。

そのあと、ラディゲ氏によって先行して書かれた『肉体の悪魔』を読んで少し理解が進む。
『肉体の悪魔』がA面ならこれはB面の関係。
あちらはリアルタイムの心情の変化を描いていて(ルポルタージュや実況中継のように)、こちらはチェスのようにコントロールされた状況下での心情の変化を描いているのだ。

【日記】15年08月02日(日) 体重59.7kg

ひとりとかふたりならどうってことないけれど、多人数と接した翌日は必ず人酔いになって昼過ぎまで……場合によっては数日間具合が悪くなる。

寝苦しくて睡眠不足気味。
四時四五分起床。

五時一〇分より公園を二九分ジョギング。
Tom Newmanのアルバム『Fine Old Tom』を聴きながら走る。
……あまり印象に残らない。

あまりの暑さに、仕事部屋で仕事をしたらパソコンが壊れる(五年前暑さでハードディスクが焼けた)かもしれないので、仕事机をエアコンのあるリビングに移動する。
リビングの掃除をしていると昼近くまで時間が潰れる。

午後から外出、四谷の読書会へ。
課題本はラディゲ『ドルジェル伯の舞踏会』。
この本単体では言わんとすることがわからなかったので、『肉体の悪魔』を図書館で借りてきて比較して読むと少し理解が進む。

人酔いを避けるため、懇親会に参加せず帰宅。
二一時半就寝。

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【本】根本敬『果因果因果因』

学生の頃いちばん好きだった作家、根本敬氏のフィクション短篇集。
自分が好きだったテイストがフィクションの中にも残っている。
善でも悪でもない世界の底に沈殿した澱の中の混沌とした世界に自分は憧れた。
そして学生時代は傍観者だった自分が時を経て澱の中に埋もれ、いつの間にかリアル世界で根本氏の描くあちら側に片足を突っ込んでいることに気づく。
おそらく根本氏の世界がこちら側に侵食しているのだ。

【本】ラディゲ『肉体の悪魔』

その場の空気を冷凍保存してそのままリアルタイム解凍しているかのような、すさまじい心理的臨場感。
尋常な気持ちで読んでいられない。
自分の心に関してここまで熟知しているということはずばらしいが、恥ずかしげもなくそれを描写するラディゲ氏はある種のサイコパスかもしれないとまでも思う。
僕は……正視できない(だからクリエーターとしてダメなんだ!)