こんな映画を観た!」カテゴリーアーカイブ

映画の見方がわからない人が感想を書いています。ばんばんネタバレしていきますよ〜!
フェイバリット映画は『遊星からの物体X』。
時々アニメやドラマやドキュメンタリーの感想も入ります。
(特に記載がない場合はDVDでの鑑賞です)
 
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【映画】『ザ・ムーン』

一九六九年〜七二年にかけて九つの宇宙船が月へ行った……宇宙飛行士へのインタビューと映像で作られたドキュメンタリー。

月面の映像はどれも色味がなく、地球の砂漠を白黒で撮影したかのようだ。
地球から持ち込まれたものだけかろうじて色が付いていて、それは映画『シンドラーのリスト』に登場する赤いコートの少女がごとく。
視覚的にあまり楽しくなく、「地球以外の地に初めて降り立った……」という歴史的な意味以上のものはない。

インタビューを観ていると、宇宙で神の存在を確認した人が少なくない。
(月に降り立って)人が作った宗教を超越した存在、万物の創造主の存在を感じた……とのこと。
人間が人間であるかぎり、たとえ太陽系から外へ出てはるか未来、銀河帝国の時代になったとしても宗教はなくならないのだろう。

【映画】『夢と狂気の王国』

『風立ちぬ』『かぐや姫の物語』の製作時期前後に作られたスタジオジブリのドキュメンタリー。

夢は夢だが、狂気というほど狂気でない。
天才のエゴに振り回される「職人/一般人」たちといったところ。

映画としての体をある程度意識しているぶん、NHKのドキュメンタリより情報量が少なく、感覚的。

宮﨑駿氏は仕事場で音楽を聞きながら喋りながら絵コンテを切っている。
(バッハ『ブランデンブルグ協奏曲』を確認)
仕事中もタバコ手放せない。
道でも歩きタバコ。

庵野秀明のアフレコに立ち会う宮﨑氏、感動して涙を流す。

いっぽう庵野秀明氏はクシャクシャの薄ピンク色のカッターシャツで登場する。

高畑勲は、渥美清と菅井きんを足して二で割ったようなルックス。

アニメーター「自分の大切なモノを守りたい人は宮﨑さんのそばにいないほうがいいです」
「上手かったらいいかというとそうでなく、上手いぶんだけ高い要求をされて傷つく」

庵野秀明氏「宮﨑さんは他人を下駄にする」
(他人を踏み台にするとの意)

ジブリの本棚に『マカロニほうれん荘』が並んでいたのが印象的。

【映画】『トカレフ』

娘を殺された元ギャングのポール(ニコラス・ケイジ)は、犯人探しに奔走する……

娘を殺されたことをきっかけに、精算せずに隠蔽しただけだった過去の自分が吹き出す。

過去の過ちから起因する恐怖(自分の思い込みによる犯人探し)から誤った方法(暴力を暴力で解決する)を繰り返す。
周囲の助言、忠告を聞かない。
関係のない人を巻き込んでいく。

その成長のなさ加減、自分勝手さ加減が、完全な成長をしなかった主人公を象徴している。

かけがえのない友人を失い、最後の最後に自分の過ちに気づくが、時すでに遅し。
最後に残った唯一の味方に別れを告げ、ポールはケジメをつけるため死地へ赴く。

因果応報だが、やるせない。

【映画】『ワールズ・エンド/酔っぱらいが世界を救う』

街の全てのパブの梯子酒を達成するため、二〇年ぶりに幼なじみが再会するが、久しぶりに訪れた故郷の街は何かがかってと違っていて……

登場人物の落ち着きぶり、あるいは老けぶりに、僕と同い年の男性はこう見えるのかと身につまされる。

僕と同時代の人たちが作って出演している映画なので、同じ時代を呼吸していた空気みたいなものがダイレクトに伝わってくる。
音楽の使い方、映像は申し分なく好み。

イギリス人らしい生真面目さと、悪ふざけがすぎる部分が混在していて、僕の中でおさまりが悪い。

同じ監督作『ホット・ファズ』も悪ノリしているところはあるが意外にまとまっているところがあって、もっと滅茶苦茶な映画を期待していたので少し肩すかしだった。

今回も同様にかゆい所に手が届かない、微妙にどっちつかずな印象。
(あくまで私見)

宇宙人の表現が新鮮。

【映画】『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』

さまざまな問題があって、老後をインドで過ごすことになったイギリス人達の交流を描く。

主要登場人物が多いけれども、キャラクターがちゃんと描き分けられているので、混乱しなかった。
印象は悪くない。
まったりとした展開だが、退屈はしない。
自分としては眠らずちゃんと展開を追うことができたというだけで、ポイント高し。

ただ、インドのきれいな部分を強調し過ぎるところは気になる。
もっと善意だけではどうしようもできないこともあって、混沌としているのではないか。

【映画】『リンカーンVSゾンビ』

ゾンビ殲滅作戦の陣頭指揮をとるため、リンカーン大統領はシークレットサービスを連れ南軍の砦に潜入する……

DVDに傷が入っているせいか、四〇分前後で映像が何度も行った来たりしてストーリーがなかなか進まない。

ゾンビが音に反応するという設定なのだが、ゆっくり行動するとゾンビの前を歩いてもでくのぼうみたいに突っ立ったまま気づかない。
そんなドン臭いゾンビなのに被害者が増えていく……その理由はまず、リンカーンの説明不足。

敵がゾンビであること、そのゾンビの倒し方を部下にも敵にもちゃんと説明しないから、パニックになった人々が無為に殺されていく。
ちゃんとリンカーンが説明を始めるのは物語が半分近く過ぎてから。

その後もシークレットサービスどおしで喧嘩したり、後ろに立っているゾンビに気づかなかったり、間抜け過ぎる理由で死んでいく。

ゾンビから逃げているうちに線路に上がり込み、機関車に追いかけられて走るシークレットサービスに向かって、
「横切れよ!」
と画面越しに叫んでしまう。
……轢かれて即死亡してしまったが。

DVDに傷がついていること関係なしに進まないストーリー。

【映画】『ジャングル・ブック』

密林で動物に育てられた人間の少年モーグリ、人間嫌いのトラが帰ってくるので、みんなで故郷へかえしてあげようとするが……

あまりピンとこない。

ヘビが催眠術をかけたぐらいからものすごく眠くなってきてウトウト。
あと少しで僕もヘビに食べられてしまうところだった。

【映画】『アナと雪の女王』

透き通った氷、荒れ狂う波、冷たそうな水など水に関する質感表現が素晴らしい。

姉が突然妹とコミュニケーションをしなくなる理屈がわからない。
妹に誤って魔法をかけてしまったトラウマ?
にしても妹はその記憶じたいがないのだからちゃんと説明しろよ……と思ったらやっぱりコミュニケーション齟齬からトラブルが始まる。

城をほっぽり出して「ありのままの私で〜♪」と歌わせる意味がわからない。

結局氷運びの青年は何の役にも立っていない。
スノーマンのほうが役に立っている。

愛が氷を溶かす理屈がロジックでなく、エモーショナルなものだった。   
キン肉マンがバッファローマンを倒した理屈と変わらない。

【映画】『柔道龍虎房』

かって柔道がめっぽう強かった男は場末の飲み屋でバンド演奏しながら盗みや博打で身を持ち崩していた。そこへミュージシャン志望の若い女がバンドに応募してきて……

駐車場で黒服が、延々と柔道の技の掛け合いしている絵はシュールを通り越して何か神秘的。
現実の香港を映しているにもかかわらずSFのような光景にうつるのは、ジョニー・トー監督のこうあるべきと思う一種のユートピアを映画の中で再現したからだろうか。

登場人物の行動がエキセントリック過ぎる。
終盤で主要人物の一人が知的障害者だということがわかるが、登場人物全員、常軌を逸した行動ばかりなので、その事実がわかった後でもやっぱり差がわからなかった。

【映画】『あなたを抱きしめる日まで』

物語というものは出来事をどう切り取とるか、ということだが、ノンフィクションは実際にあった出来事を演出以上に逸脱できないから物語の演出の手腕が問われる。

演出で描いていいことの制限があるが、そのぶん涙という点においては事実の重さで簡単に担保される。
それが実話の強みであり弱みであり……特に考えさせられたのがクライマックスの老シスターと主人公のやりとり。

僕は涙が止まらなかったのだが、物語の核心部分だけに、ここがどのくらいの真実かということで映画に感情移入する度合いが変わってくる。
これはどの程度演出されている事実なのだろうか?

単にここに描かれていることだけを受け止めて泣いていいのか、と一方で冷静に考えている自分もいるのだ。

【映画】『ハミングバード』

冒頭、長髪で現れたジェイソン・ステイサムが落ち武者みたいで不気味なのに、坊主にすると精悍な顔つきになる不思議。
僕もハゲたら潔く坊主にしようと強く思う。

抑えたトーンの前半、非日常を揺れながらギャングの世界に足を踏み込んでいく主人公の描き方が巧み。
不穏な空気が現れては消え、現れては消え、を繰り返しながら次第に振り幅が広くなり、悲劇的なラストを予感させる……

観終わった後で、監督、脚本が『イースタン・プロミス』の脚本家と知り納得。

ただ、『イースタン・プロミス』ほどのカタルシスはなかった。
もっとはっきりしたクライマックスがあれば「ええもん観た感」を出すことができたのに。

【映画】『フレンチ・コネクション2』

ハンバーガーを「肉をレアでケチャップ抜きで」と注文するアメリカの刑事に仰天。
ステーキならともかく、ミンチ肉を生の状態が残ったまま食べるってどんだけアングロ・サクソン系は血のしたたる肉好きやねん……

ラストのチェイス、主人公視点になり、手持ちのカメラで敵を追いかけ柵を乗り越えるところは手だけが映ったり、当時としては表現が斬新だったのだろうか……現在もこういう描写がそこまでありふれているわけではないので、新鮮。

主人公はじめフランスの刑事もマフィアも登場人物みんな「頭頂部薄くてモジャモジャ」の似たような髪型で区別がつきにくい。
刈り上げにしたりなどの工夫があったらもっとよかった。

【映画】『監獄ロック』

エルビス演じる主人公は刑務所で音楽を教わり、出所してからデビューして大ブレイク。
しかし自分の衝動を抑えることのできない彼は至るところでトラブルの種を撒き散らす……

物語自体は他愛のないもの。
人を殴ったらすぐに死ぬし、殴られたらすぐに声が出なくなる。
レコードを出したらすぐに売れっ子になるし、売れたらすぐに天狗になる。 

ところで僕は今作で初めて映像としてのエルビス・プレスリーをちゃんと観た。
すると今まで僕の中でエルビス・プレスリーとブルース・リーと区別がついていなかったことに気づく。
エルビス・ブルース・リーとかブルース・プレスリーとかとっさに答えてしまっても不思議でない。

それにしてもプレスリー、かっこよくないし、歌もうまいとも思えない。
ビートルズ以降のバンドならまだわかるが、プレスリーぐらいになると何が新しかったのか何が特別だったのか今から観てもわからない。

エビスビールの名称はエルビス・プレスリーが由来?

【映画】『パトリオット・ゲーム』

イギリスでIRAのテロに巻き込まれた情報分析官ジャック(ハリソン・フォード)は、テロリストの恨みを買い、家族を執拗に狙われるようになる……

情報分析官を映画の中でわかりやすく描くことがよほど難しかったのだろうか、そこを主眼にしないでただのアクション映画に仕上げるところがいい意味でも悪い意味でもハリウッドっぽい。

全く知性を感じさせないジャックの行動。

反射的に事件に飛び込んでいき、銃撃戦、乱闘、カーチェイス……そして最後は荒れ狂う海でボート上での殴り合いだ。

肝心のお仕事である情報分析のほうは論理的思考を積み上げて推理していくわけじゃなくて、フラッシュバックで蘇る自分の映像記憶&勘が頼り。

ハリソン・フォードが活躍する他のアクション映画との差がわからない。

【映画】『マディソン郡の橋』

田舎町の平凡な主婦が自分の住む田舎町に撮影に訪れた写真家と恋に落ちる……

思っていた内容と全然違っていた。
戦争映画で、連合国軍のマディソン提督率いるマディソン軍が日本軍の補給路を断つため、東南アジアにある橋を爆破する話だと思っていた。
しかし観てみると弘兼憲史氏『黄昏流星群』みたいな話だった。
椅子から転げ落ちるぐらい吃驚した。

母の手記に書かれた「彼に感謝するはず」という言葉、最後まで到底その心情を理解することができなかった。

【映画】『48時間PART2/帰って来たふたり』

前作『48時間』から七年後、ふたたび二人はタッグを組んだ……

タッグを組むきっかけが希薄。
そもそもタイトルに『48時間』が入っているにも関わらず、物語の中に前作ほどはっきりとしたタイムリミットが存在しない&エディ・マーフィー演じる主人公の立場が切実でないので前作より緊張感に欠けること甚だしい。

アクション映画としては見どころがたくさんあるけれども……物語自体はどこまでも他人ごとだった。