こんな本を読んだ!」カテゴリーアーカイブ

本を読むことはあまり得意じゃないのですが、頑張って読んでいます。
 
このカテゴリーの目次はこちら→こんな本を読んだ!

【本】『LIFE PACKING(ライフパッキング)【未来を生きるためのモノと知恵】』高城剛

まず理屈抜きに他人のカバンの中は面白い。持ち物にこだわりのある人のモノならなおさら。
数年前、一〇万冊の書籍が並ぶ著者高城氏の書斎を観てこういう生活ができるようになりたいと憧れたものだが、よくよく考えてみると一〇万冊って一日一〇冊読んで読み終わるのに三〇年かかる量。書籍を三千冊強所有している僕ですら整理しきれないのに、この人はどう情報を処理しているのだろうと訝しんでいたのだが、この本を読んで納得。
一〇〇〇冊ぐらいスキャンした他は全て処分したとのこと。高城氏の立派な書斎は自己表現の一つだったのだ。
カバンの中身じたいは男の冒険心をくすぐる、旅グッズ満載。最先端のガジェットを使いこなしながら、ホメオパシー、瀉血キットなどなど科学的根拠が??なものが混在しているあたり、スティーブ・ジョブズが東洋文化に傾倒し禅に傾倒した仏教徒だったことを連想させる。
……にしても、「どこでもDJコンソール」を持ち歩いてどうするの? 
二〇年近く前から思っていたのだが、結局、高城氏って何をやってる人?

【本】★『超・オフィス整理術 仕事ができる人はなぜデスクがきれいなのか』小松易

デスク周りのモノの配置について、こうあったほうがよいという具体例を納得いくよう理屈で説明する。
片付けはダイエットと同じで、散らかった(太った)ときに整理する(痩せる)のではなく持続させるための恒常的なシステムが必要だということ。
これは感覚で説明する近藤麻理恵さんの真逆の方法だが、同じ結論。

メモ:
●整理するときのポイント(これの繰り返し)
外に出す:一箇所に集める

分ける:減らす基準を決める

減らす

しまう

●文房具は一軍と二軍に分ける
二軍に入れて一ヶ月以内に使わないものは処分。
デスクの上にはパソコンと電話だけ。

●引き出し
一番:文房具
二番:小物
三番:保管書類

●パソコンの中の書類:三回のクリックで見つかるよう整理

●片付けるときは一五分一セット。

【本】『整理HACKS!―1分でスッキリする整理のコツと習慣』小山龍介

整理について、理屈よりも具体的な実践方法を簡潔に紹介。サプリのような印象。手っ取り早く整理ガジェットの情報を仕入れたい人にはいいのではないか。

メモ:
●フォルダ名は全て同じルールでetc.「プロジェクト/書類名120426」

●EYE-FIなどのWi-Fi付きのSDカード

●小物を透明ポーチに入れて整理。

【本】『サンダーマスク』手塚治虫

珪素生物というアイデア、現在ですら一般的に馴染みがないのに四〇年以上前の少年誌ではどういう反応だったのだろう。これが打ち切りの原因のひとつ? 設定はともかく、展開自体は面白く、もっと広がりそうだったのに一巻で無理やりまとめたのが勿体無い。
この頃の手塚氏は絵の描きとばし感が半端ない。

【本】『火の鳥(13)』手塚治虫

「生命編」銃から発射される光線が螺旋を描く理屈がわからない。そもそも手塚氏が描いた(?)螺旋がヨレヨレで、アシスタントが描いた爆発と位置がズレているし線質もあきらかに浮いている。この少し後になると手塚氏の絵は安定するのだが、絵に迷いがあった時期なのだろうか。物語自体は、初読時(高校一年)は「火の鳥」の中の一編としては物足りなく感じたが今読むと普通に面白い。手塚氏に熱中しはじめたときだったので期待値が高すぎたのか。

「異形編」他の『火の鳥』作品と「太陽編」の緩衝材のような印象。物語技巧については申し分ないが、そのためだけに作られたキャラクターっぽくて、時間の輪廻に閉じ込められた登場人物に、漫画の外側から不憫に思う。

【本】『モンド9 (モンドノーヴェ)』ダリオ・トナーニ

惑星モンド9で生活している人がその視点で物語られた日記や航海記録を集めたもの。
何が進行しているのか把握することが、別世界の住人である僕には難しすぎる。
ドラクエ1のダンジョンは松明の照らす範囲しか見ることができなかったが、そんな感じで、一定の距離から外は把握できないような手探り感のある描写で息苦しい。それも含めて著者の意図通りだから、たぶん僕には合わなかったということだろう。
スタニスワフ・レム『砂漠の惑星』も似ているところがある物語だが、登場人物が別世界の闖入者なので登場人物と同じ視点から読者がわかるように最低限の説明がある。
現代はSFの文学度が高くなっているからそういう説明が省かれる傾向にある? 
設定や描写が興味深いだけに残念。

【本】『NHKためしてガッテン科学のワザで確実にやせる。―失敗しない!目からウロコのダイエット術』

もうここ数年ずっとダイエット中の僕。ここに書いてあることは全て試した。でも続かない……続かないんだよ! 
続けるための心の強さが、ダイエットテクよりよほど重要だと実感。

【本】★★『たんぽぽ娘 』ロバート・F・ヤング

遺作「荒寥の地より」で泣きじゃくってしまう。今のところ今年読んだ短編ベストワン。いい意味のアマチュアリズム(自分の好きなことに執着する)。失われてもう二度と触れることができない記憶や感情を描くことに執着した作家。SF的にハードな設定になると途端にボロが出る。過去に対するノスタルジックに執着する点はジャック・フィニィに似ている印象。……感想を書こうとして読み返し、また「荒寥の地より」で涙。駄目だ。切なすぎる。

メモ:
「特別急行がおくれた日」(伊藤典夫訳)*
藤子・F・不二雄氏の短編「四畳半SL旅行」と発想が似ている。これが本邦初訳、似たようなことを考える人がいるものだ。ジオラマの登場人物がそれと気付かず無限の日常を繰り返し、それを観察する人が外に無限に繰り返して存在する……
「河を下る旅」(伊藤典夫訳)
死後の川を下るカップル。最後に救いがあるのがリアリティを損なっているような気もするが、そもそもそういう作家か。
「エミリーと不滅の詩人たち」(山田順子訳)
「神風」(伊藤典夫訳)*
少女が爆弾。男女の性の優位が逆転した未来というのが肝。大量生産殺人兵器彼女、といったところか。
「たんぽぽ娘」(伊藤典夫訳)
よく出来ているのだが、もうひと理屈がないと素直に感動できない。泣いたけど。
「荒寥の地より」(伊藤典夫訳)*
何度読みなおしてもまたあらたな涙が溢れかえってくる。無駄がない。
「主従問題」(伊藤典夫訳)*
「第一次火星ミッション」(伊藤典夫訳)*
もう少しひねりがあってもよかった。
「失われし時のかたみ」(深町眞理子)
「最後の地球人、愛を求めて彷徨す」(伊藤典夫訳)*
性の乱れた社会を、自分以外全員宇宙人になったように思える男の話。
「11世紀エネルギー補給ステーションのロマンス」(伊藤典夫訳)
なんちゅう単純なおとぎ話だ。
「スターファインダー」(伊藤典夫訳)*
よくわからない。
「ジャンヌの弓」(山田順子訳)
??

【本】『火の鳥(14~16)』手塚治虫

「太陽編」絵は手塚氏の何回目かのピークを迎え、手塚氏らしい暖かさと現代的な要素が交じり合い魅力的。
物語の中で主人公は未来と過去を交互に行き来し、この作品単体で『火の鳥』の様相。仏教の神、神道の神の対立が描かれていることに初読時(高校生)に衝撃を受けた。僕が住んでいた関西は寺社仏閣が多く双方が境内の中に混在しており、そのあるがまま以上の姿を想像することが出来なかったのだ。ものの見方が新鮮だった。その文化の対立を視覚化したうえ象徴的に物語に絡める手塚氏の物語作りの巧みさに圧倒される。
ただし『火の鳥』前半のパッションはあまり感じられない。

【本】『ビッグX(全4)』手塚治虫

物語自体は途中で終わったのに、無理やり続いてよくわからないことになっている。
主人公のシャドウであるハンス(美少年)が巨大な醜い姿になり無残な最後を遂げる。いつまでたっても改心することなくエゴを通したためこの価値観の中では当然だが……物語としてあそこで死ぬことは効果的だったのだろうか。
終わりどころを誤ったためにハンスが被害を被ったように思えて仕方がない。

【本】★★『脳が冴える勉強法―覚醒を高め、思考を整える』築山節

脳の性質に則した勉強方法について。理論的な裏付けがあるので納得できる。勉強だけでなく仕事にも活用できる。

14年07月07日再読

メモ:
●「時間の制約」が重要

「運動」「作業興奮」「緊迫感・切迫感」を配置
三〇分、一五分単位で作業をする。
脳の覚醒時のピークは一日に二〜三回しか作れない。
脳の覚醒時のピークは長くは続かない(一〜二時間が限度)。

ピーク前の勉強:作業的なもの、できるものを繰り返してピークへ持っていく。
ピーク中の勉強:新しい課題、よりチャレンジングな問題。
ピーク後の勉強:今日学習したことのおさらい。

その後は必ず、全く違うことをして脳を休める。

●欲は抑えこむのではなく利用する

仕事の終了時刻以降に時間は作ることが出来ない、という状態を作る→使えない時間があるからこそ、使える時間の制約が必然性をもつ。
仕事が終わった後の自分に褒美を与える。
「勉強と報酬の関係」+「感情のバランス」
制限すべきことは、欲を満たす量→一つ一つのご褒美に価値を感じにくくなるから。

勉強している期間に極力やめたほうがいいこと……惰性でやっていること→ストレスの逃避としてやっていることを認識する。
惰性を避けるためには
└1:脳をリラックスさせる一番いい方法→運動。
└2:何かひとつ「これだけは自分に許す」という楽しみをはっきりと持つ。

※例えばオナニーなら?
└1:筋トレ
└2:一日一回だけにする(三〇分以内)

●「どうしてもやる気が起こらないとき」の対処法

1:思い切って休む
2:感情のバランスがプラスになるような活動をする。
3:勉強しない、ということを積極的にする。
4:明日の自分をアシストする。用意したり、一〇分の一だけでも手を付けたり。

●就寝前にするとよいこと

「今日得たもの」を確認。
「明日すること」の確認。

●記憶の方法

・自分なりの言葉でまとめる:脳にとって入力することと認識することはイコールでない。
・九時間が「思い出しやすさ」が半減する目安→記憶を再現するなら九時間以内。
・記憶の多角化。(音や絵などと連動)

ヘッブの法則:同じ場所に何度も電気信号が走る→シナプスの強度が上げる
意識の操作がいらない状態を作る→一度学習を始めたら、習熟するまである程度の期間継続させないと効果がなくなる。
(時間が空くとシナプスのネットワークが風化していく)

弱点の克服に時間を使い過ぎない→逆に得意な部分が風化してしまう

習慣も「ヘッブの法則」で考える→悪い習慣をつけない
習慣を変えたいと思ったときは自分の意志だけでできると考えず、その行動に報酬系と結びつける工夫が必要。

●大人の勉強は明確な目標がないと長続きできない

・目標がない勉強は報酬に結びつかない→ご褒美は社会から獲得するしかない。
・生存可能性を高めること……仕事と結びつける。
・勉強の範囲を限定すると意欲が起こる……目標がないと勉強の範囲が果てしなく広がってしまうから。etc.旅先の会話レベルに限定する。
・細切れの時間を活用する。

★【本】『IDEA HACKS! 今日スグ役立つ仕事のコツと習慣』原尻淳一

先日読んだ『整理HACKS!』と同じく、サプリのような印象。お手軽に栄養がとれる、効能がはっきりしている、でも医療薬品ほどではない。

メモ:
●リスクを早めに見切る。それに備えて柔らかなスケジュール作りを心がける。
●一五分以上かかる作業はスケジュールに組み込む。
●アイデアが出ずに行き詰まった時には、結果がすぐに出る単純作業を。

【本】★『脳が冴える15の習慣』築山節

できる限り行動を習慣化させること→生活のリズム→早寝早起き→時間の制約を作る→作業を先送りにしないこと→整理整頓→情報整理→情報のインプットとアウトプット→コミュニケーションの重要性……というなだらかなグラデーション。

【本】『ブルンガ1世(全2)』手塚治虫

寓話的な物語ということを強調するためだろうか、悪魔が鵺のような怪物(ブルンガ1世)を子供にプレゼントをするシーンから始まる。
自分の経験上、子供はこういうことに拒否感を感じるもので……星新一ショートショートでも悪魔や死神が登場する話は「はい、作り話」とイマイチ乗れなかった。
こういうモノだと納得できるようになるには漫画の中である程度の手続き(例えば『デスノート』みたく絵をリアルにするか、『ブリーチ』のように現実からステップアップしていく)をするか、いろんな物語を読んでこういう定番だと理解することができるようになる年齢向けに作るか。
そのどちらでもないこの漫画は僕にとって、寓話的な部分がよく目につきリアリティラインが低い割にシリアスなことを描いている……鵺のような怪物、まさにブルンガ1世のような印象。

【本】『I.L(全2)』手塚治虫

時間軸的には『地球を呑む』に続く手塚氏の本格的な大人漫画。
手塚氏がそもそも持っていた記号的な絵柄が、劇画的な描写と混じりあい独特のダークな雰囲気を醸し出している。
一〇代の頃僕は、手塚氏のこの一連の漫画に大人の世界を覗き見る背徳感を感じ、エロ本を読むように(直接的なエロスは感じなかったが)酒や煙草のように耽溺していた。

この漫画自体は今ひとつ何がやりたいのかわからなかったが、よくわからないながら雰囲気に浸るためだけに何度も読み返していた。

【本】『ショート・アラベスク』手塚治虫

大人向け掌編中心の短篇集。寓話もあれば、実験的な作品もあり、ミステリもあり。
ジャンルも違えば物語のアプローチの仕方もバラエティに富んでいて、手塚氏の短編の特徴は……と単純に定義することができない。
物語作りにどれだけたくさんの引き出しを持っているのだろう。

【本】『藤子・F・不二雄の発想術 』ドラえもんルーム

手塚氏についての研究書籍『一億人の手塚治虫』と同じような編集方針で、F氏の生前のインタビュー・エッセイ・漫画賞の講評等の言葉を再構成したもの。氏は自分を語ることが手塚氏ほど多くない(そもそもそういう作家ではない)ので元ネタが限定されていて、続けて読むと乱暴な接続だったり要点がぼやけていたりする。

生活をルーチン化してコンスタントに創作物を生産するところ、星新一氏を彷彿とさせる(イチロー氏も生活をルーチン化して自分の変化を管理しているという記事を読んだことがある)。手塚治虫氏はその逆だったし、自分の周りを見渡しても漫画家の中ではむしろこういう人が少数派。

発想術についてまとめメモ:
●たくさんのもの(表現物、経験含む)を見ろ。
●独創性を大切にしろ。
●職人意識(自己満足でなく他人を意識した)を持ってモノづくりをしろ。
●自分の好きなもの、楽しいことを大切にしろ。

……僕レベルからすれば相反することもあるしそもそも同時に幾つかのことを守ることができるほど余裕が無い。しかしこれら全てに忠実であろうとした人が藤子・F・不二雄氏だと思う。

【本】『藤子不二雄SF全短篇 (第2巻) 「みどりの守り神』藤子不二雄

「流血鬼」を初めて読んだとき、ハッピーエンド風に描かれたラストに恐怖したことを今でも思い出す。同化されることが子供心ながら恐ろしかった。
ドッジボールなんかやりたくないのに、やってない子を休み時間に強制的に参加させる不条理に個人の自由という言葉を知らず、言い返せずに泣きながらやらされた小学生のときの自分……やりたくないのに仲間はずれが怖くてドッジボール……
「いいね!」「リツィート」の自由意志を大切にしたい。

この短編シリーズを読んだ手塚治虫氏がかなり落ち込んだというが、確かに平均打率の高さは手塚氏を凌駕している。僕の中の短編漫画の教科書、いやバイブル。
個人的に「みどりの守り神」「山寺グラフィティ」「流血鬼」「絶滅の島」は殿堂入り。

【本】『性本能と水爆戦』道満晴明

2012年11月9日ぶりに再読。
僕はモノを擬人化した作品に滅法弱いんやな〜。性描写が必然性があり物語と絡み合っている。エロいのは苦手な僕だけどこれは超お気に入り。

メモ:
「アッカーネ」
乞食王子をモチーフ。

「♯」
楽器を女性に擬人化。

「トゲトゲ」
バケモノの手をした女の子、ラストの描き方が秀逸。

「SIDE SHOW」
シャム双生児の双子、サーカス、象男のエリック。

【本】『最後の性本能と水爆戦 』道満晴明

2012年11月9日ぶりに再読。
線が綺麗だし、女の子はかわいい。短編ひとつひとつの完成度が半端ない。しばらくこの本を教科書にしよう。

メモ:
「MUSE」
自分の選択が世界を滅ぼすとわかっていたら?
「妹の通夜」
妹のことを好きだったが声をかけることができなかった鬼がやってくる。置き土産。

【本】『地底国の怪人』手塚治虫

手塚氏の長編三作目。手塚氏いわく、戦後のストーリー漫画の嚆矢だとのこと。後に『地球トンネル』『アバンチュール21』でリメイクされている、その原型。リメイク含め地底シリーズを全部読んだが、今作が一番シンプルだ。
もともとは『トンネル』というタイトルだったらしいが出版社の要望でこのタイトルに変えたとのこと、そのせいかもしれないが誰が「怪人」なのか最後までわからなかった。

【本】『半神』萩尾望都

表題作『半神』が興味深い。タイトルが内容とマッチしているとは思わないが、ありえない前提からふくらませた問題を掘り下げてしまう萩尾氏の手腕にほとほと感心してしまう。
自分の身の回りのことに一般化するとどういうことを指しているのかイメージすることすら難しい。

【本】『超発明』真鍋博

なんと抑制的な筆致。人の手で描かれていないような無機質さ。三次元的な表現が見うけられず、氏のイラストに描かれている全てが二次元世界の住人。タッチをつけないよう製図ペンを使って描いているのだろうか、気になって調べたが画材は不明。現代でも氏が健在ならCGで描画しているのだろうか。かえって印刷に出るかで出ないかの微妙なアナログ感を大切にするような気もするし、よくわからない。
この懐かしい未来感が、「バラ色の未来」感が一回転して消え失せた昨今、妙に新鮮。

【本】『ジャングルタロ』手塚治虫

水爆実験から始まる冒頭。ウラン鉱石を持ち帰り死ぬ運命の悪役。死の影がちらほら見えるが基調は明るい動物漫画。
あとがきにて、手塚氏は核実験の恐怖を政治色抜きで娯楽作として描きたかったことたらしい。志が高過ぎる! しかし人気重視の少年誌にはそういうテーマは伝わらず、剣豪漫画や月光仮面のブームに押され尻つぼみにおわったとのこと。月光仮面て! 手塚氏の輝かしい活躍の歴史の裏にはこういう試行錯誤や競争があったということを実感。

【本】★『お片づけセラピー〜ADHD/ADDのためのハッピーサバイバル法』桜井 公子 袋居 司

僕はADHDなので(医者の正式な認定済み)、片付けやスケジュール管理がとても苦手。
何とか改善したく思い、いろんな片付け本を読んで実行している。
その甲斐あってか少しずつマシになっていると自分が思っているが、それでもカバーできない領域があって、それは一般の人ではないADHDに由来する部分……それを補うためにADHDのためと銘打ったこの本を入手する。
今まで読んだ片付け関係の本で取りこぼしていた(この本で初めて目にする)コツをメモ。

ちなみにこの本のADHDチェックリストの四〇個中、三六個に僕は該当している!

メモ:
●ハサミとゴミ袋は部屋ごとに常備。

●ノリが良くても徹夜の片付けはしない。

●大事なものだけをいれる引き出し(箱)を作る。

●すぐに出かけられるよう荷物の「最低限セット」を作る。

●玄関に確認事項を書いた大きな紙を貼る。

●メールのレスが遅いことを周囲に予め伝えておく、その都度詫びる。

●メールや礼状、年賀状は凝るより、「早さ」と「出すこと」が勝負。

【本】★★『机の上はいらないモノが95%―世界一シンプルな整理法』 リズ・ダベンポート

筆者の前作『気がつくと机がぐちゃぐちゃになっているあなたへ』の理屈部分を省きポイントだけ抜粋したもの。前作もじゅうぶん勉強になったが、情報が多すぎて埋もれてしまった方法にすぐアクセスできるため、検索用として良書。

メモ:
●ラベルのないトレーは厳禁:そんなことをすると無制限に放り込んでしまう。

●手が届くところにあるものは、「毎日使うモノ」だけ。
 └毎日使うモノは、目の前のすぐ届くところに置く。
 └一週間に一度使うモノは引き出しに入れておく。
 └一ヶ月に一度程度しか使わないモノは、部屋においておく必要はあるが、机周りに置かない。
 └一ヶ月に一度以下の頻度のモノは部屋の外へ。

●どんなに記憶力のある人でも一度に覚えられる用件は七つだけ。→一日にこなせるタスクは七つまで。

●ペンディングトレーに入れるとき、この順番で。
 1:スケジュール帳にメモをする(期限日に)。
 2:トレーに入れる。

●スケジュールは逆算してつくる……僕の場合は余裕持って一日早めに設定するのがいいかも。

●一時間以上かかることはスケジュール帳に組み込む。

●クロージング
 1:スケジュール帳をチェック。
 2:机の片付け。
 3:次の日の計画を立てる。(→一日にこなせるタスクは七つまで)

●システムを半年に一度チェック。

【本】『藤子不二雄SF全短篇 (第1巻) カンビュセスの籤』藤子不二雄

一九五〇〜六〇年頃アメリカで流行った小説ジャンル「奇妙な味」の漫画化を藤子・F・不二雄氏が試みたものと解釈。
価値観のズラシで、極端(あるいは象徴的)な状況を作って、主人公が目的を達成しようと努力するが、報われない/皮肉な結果に終わる、バリエーションが比較的多い。
「ミノタウルスの皿」は食の価値観のズラシ、「ウルトラスーパーデラックスマン」は正義という概念のズラシ……など。
どの価値観をどんな状況でズラすか、という部分がこの短篇集の核。F氏の独創性と職人的テクニックが起こした奇跡のような化学反応。

「ミノタウロスの皿」「カンビュセスの籤」「劇画・オバQ」「分岐点」「ウルトラ・スーパー・デラックスマン」が個人的に好み。

【本】『読書は1冊のノートにまとめなさい』奥野宣之

このメソッドは僕には癖が強すぎて、ちょっと真似ができない。
普段あまり本を読まない人が、読書を楽しむため導入するにはいいかもしれない。
読書ノート自体一つの作品にするような感覚で作るメソッドだから、フェティッシュな楽しみができそうだ。

【本】『藤子不二雄SF全短篇(第3巻)征地球論』藤子不二雄

比較的新しく発表されたもの(八〇年代)中心に編まれている。前二作と同じく「奇妙な味」的なもの、ズレた価値観を扱う物語が中心だが、日常のなかの一コマを切り取る傾向が強くなりドラマ性は身を潜める。
「征地球論」「あのバカは荒野をめざす」「未来ドロボウ」「大予言」が僕の好み。特に「征地球論」は文明批評としても素晴らしい。こんな短編が載っていた少年漫画誌ってすごい時代だったんだな。