【本】『藤子不二雄SF全短篇 (第1巻) カンビュセスの籤』藤子不二雄

一九五〇〜六〇年頃アメリカで流行った小説ジャンル「奇妙な味」の漫画化を藤子・F・不二雄氏が試みたものと解釈。
価値観のズラシで、極端(あるいは象徴的)な状況を作って、主人公が目的を達成しようと努力するが、報われない/皮肉な結果に終わる、バリエーションが比較的多い。
「ミノタウルスの皿」は食の価値観のズラシ、「ウルトラスーパーデラックスマン」は正義という概念のズラシ……など。
どの価値観をどんな状況でズラすか、という部分がこの短篇集の核。F氏の独創性と職人的テクニックが起こした奇跡のような化学反応。

「ミノタウロスの皿」「カンビュセスの籤」「劇画・オバQ」「分岐点」「ウルトラ・スーパー・デラックスマン」が個人的に好み。