【映画】『サスペリア』

伝統あるバレエの寄宿学校で起こる不気味な出来事の裏には……という話。

冒頭、飛行機の到着口から現れる主人公、内側から照らす赤い照明。
意味ありげにカットを変え何度もなめるように映される空港の自動ドアはギロチンのよう。
豪雨。
言葉が通じないタクシーの運転手。
全てが普通にあることなのに、ずっとスリリングな音楽がかかり、恐ろしく演出されている。
冒頭からテンションが高い。

異世界観を演出しているためか室内は広角で撮影されており、登場人物を追ってカメラが横に移動すると画面の端がぐんにゃりと歪む。
登場人物が窓の外を見るだけで「チャララーン!」とかん高い電子音。

……演出のやかましさに僕はうんざりしてくる。

音楽の雰囲気は『エクソシスト』のテーマ曲、マイク・オールドフィールド『チューブラー・ベルズ(パート1)』と似ている。
この映画『サスペリア』もオールドフィールド氏と同じプログレッシブ・ロックつながりのバンド、ゴブリン。
今となっては古めかしく感じるが、公開当時はこういう電子音楽が最先端だったのだろうか。

さらに盲目のピアノ演奏者が死んだ後、どんなシーンにもうっすらとピアノ音がかぶさる演出。
テレビの音量を変えても一定の音量で何処かから聞こえてくる。
怖い。
どんな巧みな演出だ……と感心していると、しばらくして近所で誰かが練習しているピアノ音だったことがわかる。

ラスト、主人公がとうとう敵ボスと対峙することになるが、その姿は透明で見えない。
姿が見えない敵は倒せない……主人公が恐怖に悲鳴を上げる。
敵ボスは高笑いをする。
窓の外で雷が光る。
そのたびに雷光に照らされ敵ボスの輪郭線もビカビカと光る。

「見えてるやん!」

案の定、敵ボスの居場所は主人公にばれ、あっさり倒されてしまうのだった。
なんなんだ。