【映画】『愛を読むひと』

主人公が成長するに従って、感情移入し難い存在になっていく。

一五歳当時は、あきらかにこちらに好意をもってくれている同級生さえ袖にして、ハンナ(ヒロイン)のもとへ通う主人公だったのに……

裁判所で、ホロコースト事件の被告として座っている彼女を見て動揺する主人公。
戦争犯罪者の彼女と一時期でも関係があったと思われることがいやだったのか、あるいは初恋の熱が冷めて客観的に見たらハンナが老けたおばさんだったせいなのか……自分だけがこの裁判の結果を覆す重要なことがわかっているにも関わらず、自ら動こうとしない。

(ハンナは文盲であることを知られる恥が、沢山の人を殺した罪を背負うことより上回る……屈折した罪の意識のあらわれ?)

たとえいま彼女のことが好きでないとしても過去の自分の思いを大切にするためでも、あるいは法律を学ぶものとして筋が通っていないことを正すためでも、本当は世界中の人を全て敵に回してもほのかに残る彼女への思いを消さないため……でも何でもいいんだけど、自主的な行動はしない。

それでも重い腰を上げ留置所のハンナと面会に行こうとするが、やっぱり途中で逃げだして、法科の同期の女性と身体を重ねる。
しかも性欲だけで、その娘を愛しているわけではなく、セックスした後は、
「夜は一人で寝たいから」
と彼女の部屋から去っていく。

その後、主人公はハンナをずっと放ったらかしていたが、結婚、離婚を経て、ふと思い出したかのように自分が何かをしたというアリバイ作りためか、本を朗読したテープを一方的ハンナに送り続けるようになる。彼女はそれによって字を学び手紙を送ってくるようになるが、彼は決して返事を書かない。

出所直前、彼はハンナのもとを訪ねる。
ハンナの差し出した手を彼が引っ込めることによる拒絶。
……ハンナは言う。
学んだのは字を書くことだけ。
刑務所で、自分の犯した罪については思い出しもしなかった。

しかし、彼の訪問が引き金になったのか、出所の日に彼が送り続けたテープと本の上に足を置きハンナは……

そこで僕のイライラは爆発。
毅然とした彼女の態度の裏にあった思いを主人公は察することができなかった。
言葉通りにしか受け取らなかった。

主人公が積極的な行動を取ることで変えることができる未来もあったのに、傷つけられることが怖いのか傷つくことが怖いのか、彼はずっと消極的な行動と言葉だけ。

僕が好きな少年漫画の主人公からはるか遠い位置にいるこの映画の主人公に、僕は全然感情移入できない。

最後に。
ハンナ(ケイト・ウィンスレット)のワサっとした脇毛にグッとくる。見どころ!

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