こんな本を読んだ!」カテゴリーアーカイブ

本を読むことはあまり得意じゃないのですが、頑張って読んでいます。
 
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【本】『手塚治虫エッセイ集(7)』手塚治虫

読書から物書きの姿勢、教育論、その他とりとめない文章……雑多なエッセイ集。相変わらず手塚氏の興味ははてしなく広い範囲に及ぶ。
何故こんなもの引き受けたのかわからないようなテーマの雑文も、手塚氏の底のないハングリー精神が「他の人が書くぐらいだったら自分が」の気持ちで書いたのかと思うと納得できる。

【本】『手塚治虫エッセイ集(8)』手塚治虫

映画とそれにまつわる自分のエピソードを集めたエッセイ集。

「ぼくはむかし、一年に三百六十五本、映画を観ることに決めていた。」
手塚氏は十数年もそれを変えずに続けてきたとか。あの『鉄腕アトム』などすさまじい漫画の連載を何本もかかえながら、医学の勉強を続けながら、アニメの仕事をしながら、だ。
漫画仲間が集まって飲んだり麻雀に明け暮れている間も、ストイックに映画に通い続けた。

天才は作品を描くことは当たり前。見えないところでさらに過酷な努力を続ける、それが手塚氏が天才たる所以なのだろう。

【本】『手塚治虫のマンガの描き方』手塚治虫

Q「漫画というものの本質をズバリ一言でいうと、なんでしょう。」
A「風刺ですよ。」

あとがきのQ&Aの最後のひとことが興味深い。
ぶっちゃけ本文は、漫画の描き方として基本的な一般論で、本音にまで到達していない。
あとがきで、ようやっと本音を知ることができるといったような感じ。

漫画も映画も、人間の内面や現実を象徴的に表現(一般論化)することだと思う。
その表現の目的(本質)を手塚氏は「風刺」と捉えている……つまり漫画を描く行為を個人的でなく社会的に捉えているということか。
僕の世代で、ポジティブな意味で「風刺」という言葉を、漫画を表現するときに出てきた
試しがない。
戦争を体験した世代だから? 
手塚氏の個人的なパーソナリティの問題? 

気になったので、しばらく「風刺」という言葉で漫画を考えてみることにする。

【本】『手塚治虫講演集』手塚治虫

記念すべき手塚治虫漫画全集の四〇〇巻目『手塚治虫講演集』。
半年以上、七ヶ月かけてようやく手塚治虫全集を全部読破することができた。

あらためて手塚氏は社会的な人なんだな、と思う。
表現者として描きたいこと優先でなく、その社会的影響を常に考えている。
表現者は、物語の中では内向的かつ非道徳的かつ暴力性がむき出しなものを描く一方、平和や環境問題を訴えたりよりよい自分を目指したり……アンビバレントな衝動を抱えている。
作家が表現する世界で長く生き残っていくためには、自分の社会的な面を強くアピールする必要もあるのかもしれない。