読書から物書きの姿勢、教育論、その他とりとめない文章……雑多なエッセイ集。相変わらず手塚氏の興味ははてしなく広い範囲に及ぶ。
何故こんなもの引き受けたのかわからないようなテーマの雑文も、手塚氏の底のないハングリー精神が「他の人が書くぐらいだったら自分が」の気持ちで書いたのかと思うと納得できる。
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【本】『手塚治虫エッセイ集(8)』手塚治虫
【本】『手塚治虫のマンガの描き方』手塚治虫
Q「漫画というものの本質をズバリ一言でいうと、なんでしょう。」
A「風刺ですよ。」
あとがきのQ&Aの最後のひとことが興味深い。
ぶっちゃけ本文は、漫画の描き方として基本的な一般論で、本音にまで到達していない。
あとがきで、ようやっと本音を知ることができるといったような感じ。
漫画も映画も、人間の内面や現実を象徴的に表現(一般論化)することだと思う。
その表現の目的(本質)を手塚氏は「風刺」と捉えている……つまり漫画を描く行為を個人的でなく社会的に捉えているということか。
僕の世代で、ポジティブな意味で「風刺」という言葉を、漫画を表現するときに出てきた
試しがない。
戦争を体験した世代だから?
手塚氏の個人的なパーソナリティの問題?
気になったので、しばらく「風刺」という言葉で漫画を考えてみることにする。