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【本】『黄色い鼠』井上ひさし
オーストラリアに住む邦人が、戦中の日本人収容所虜囚の手記をもとに小説に再構成した……という体の物語。
この小説を書いた当時、作者の井上ひさし氏がオーストラリアに移住していたことをあとがきで知る。それを踏まえると井上氏が実在した手帖をもとに再構成したノンフィクションという設定のメタフィクションなわけで、あとがきから読んでいたらより楽しめたのに、と残念に思う。
異郷の地で日本人とは何かを考える主人公。
フランス人ならフランス語、ユダヤ人なら宗教……日本人は?「答えはたぶん〈同じ血〉だ」
井上氏もオーストラリアで日本人とは何か考えたのだろう。僕も宮古島からさらに離島へ向かうフェリーの中で、日本人とは何かと考えながら読み続ける。
アボリジニの死生観が興味深い。双子はカンガルーなど他の動物の魂が間違って入ったもの。間違えて入った赤ん坊を間引きする。
捕食したもの、殺したものに生まれ変わる。
蛇に噛まれて死んだら蛇に、太陽に灼かれて死んだら太陽に、自殺して死んだら本人(人間)に生まれ変わる。
そして僕にとって日本人とは何か、自分にはまだ現実感がなく、わからない……
【日記】14年07月02日 体重を測定できず
五時起床。
二八度にセットして寝たのだが、エアコン慣れしていない自分からすれば寒くて仕方なく今日も熟睡できず。
昨日の出来事を記録してから、早朝の繁華街を散歩。
おやつ、コンビニで買った紫イモタルト。
朝が静かなのは、宮古島が東京に比べ一時間ぐらい日の出入りが遅れるせい?
宿に戻って出発の用意。
宿にて朝食、いろいろ。
八時過ぎに宿を出て船着場へ。
今日は離島の多良間島へ向かう。
途中で宿の主人が車で追いかけてきて船着場まで送ってくれる。感謝。
多良間行きフェリーに乗船、片道二時間、往復四六九〇円。
大きなフェリーに客はまばら。全部で一〇人ぐらい、ほとんどが作業着の労働者。
波に揺られていると眠くなってくる。
まどろみながら本を読んでいる。
こんな本を読んだ!
『黄色い鼠』井上ひさし
港で送迎で待ってくれていた宿の人に名前を失念、迷惑をかける。
港から民宿まで車で五分。
宿を見てびっくり、窓に鉄格子のはまったプレハブ。
おでは強制労働させられる捕虜か!
部屋に入ると外の扉の開閉音、階段を登る音廊下を歩く音が反響している。
もう少し何とかならなかったのかなあ。
宿の近くに食事処を見つけたので入る。
「みどりや旅館」にて昼食、そば。
(そばしかやっていないと言われた)
多良間島は夏休みに訪れた田舎みたいな印象。
懐かしい。
直径五キロぐらいの扁平な楕円で、ゆっくり自転車を漕ぎ続け、二時間強で一周。
ビーチを見つけたので、シュノーケルと水中眼鏡を借りて泳ごうとしたら干潮。
膝よりも水位が低い。
ビーチの前にある公園の東屋でふて寝している。
インターネットで情報収集できないからこういうことになるんや!
ということで、宿の看板にも書いてあるWi-Fiサービスの恩恵を受けたいと宿の女将に訴えると、画鋲で留めたメモ用紙に六二文字の手書き英数字を渡される。
今どき復活の呪文かよ!
くっそ長いWi-Fiのパスワードを部屋に戻り打ち込むが接続できない。
「0(ゼロ)とO(オー)あたりが怪しいと思う」
と女将に言うと
「あなたのパソコンがウィンドウズじゃないからでしょ」
と言下に否定される。
そんなことをしている間に食事の時間。
宿にて夕食、中華春雨の定食。
このメニューは……美味しいかどうかはともかくとして、僕の自宅の料理のほうがまだ一生懸命作っていると思う。
一九時頃宿を出て、島の高台、遠見の塔に登り水平線に沈む夕日を眺める。
外人と日本人女性のカップルが三脚で夕日を撮影しながらイチャイチャしているので、太陽が雲に隠れたタイミングで一人降りてくる。さみしい。
自室で何もする気が起こらずゴロゴロ。
疲れで気力が減退している。
二二時就寝。