【本】マルコス・マテウ-メストレ『クライマックスまで誘い込む絵作りの秘訣』

その独特の論理展開に、アメコミと日本の漫画との違いを僕に考えさせるきっかけになった。

アメコミ作家でありアニメーターである氏のコミック……というより一枚絵の指南書。
日本のマンガと違いアメコミは線より形、白黒の面積が重要みたいだ。
白黒の面積比によって記される構図の分析は興味深い。

アメコミは一枚絵で動きを表現しない。
コマの組み合わせで動きを表現するが、決め絵(大ゴマ)だけを並べるので、コマ間の動きは読者が想像しなければならない。
直接的な動きは表現しない。

日本の漫画は一枚絵の中には動きを表現する。
スピード線を用いたり、人物/足/手を複数(ブラして)描くことにより動きを表現する。
その上でアニメのように大ゴマと大ゴマの動きも細かく描くから、アメコミと動きの表現は桁違いに多い。
逆に言えば、一般的に日本の漫画は一枚絵としての魅力はアメコミより低い。

この書籍はアメコミ表現を取り入れたい人には良書だろう。
静止した一枚絵や動きの前兆など(特定のシーン)の考え方は、あまり日本人にはない論理展開をする。
絵コンテ、挿絵、イラスト向けかもしれない。