日別アーカイブ: 2015年6月29日

【本】スタニスワフ・レム『泰平ヨンの航星日記』

骨の折れる本だった。
五〇〇ページの小説をトータルで一〇時間、期間を一週間かけてようやく読了。
僕にとって通常の本の倍以上のペース。

「泰平ヨン」というヘンテコな名前から、小松左京『明日泥棒』に出てくるゴエモンみたいなものを想像していたら……思いがけず常識人、変な事件に巻き込まれてもあくまでツッコミを入れるだけ。
その世界の人達と必要以上に仲良くならない、あくまでも鑑賞者・傍観者としての役割だ。
家族や恋人など人間関係のバックグラウンドも極めて希薄。
もうちょっとキャラクターが立たせたり、目的を持たせてもよかったのではないかと思う。

短篇集なので一気読み出来なかったというせいもあるが(中断するたび設定を確認するため個々の短編冒頭からさかのぼって読み直し)、
基調は筒井康隆氏のようなスラップスティックなのにも関わらず、ギャグがエスカレーションするたびに膨大な文字数を使って説明するから、もう、面倒くさい。
単純にナンセンスで終わらせればいいことでもイチイチ理屈が入る。
理屈をこねること自体がナンセンスなのかもしれないけれども、僕にとっては面白い部分を相殺するいきおいで面倒くさいことが始まるから、事態が飛躍するたびに無意識に飛ばし読みしてしまう。
そして飛ばし読みしていたことに気づくとまた戻って読みなおす。
しかし油断しているとまた飛ばし読みする。
……そんな僕の無意識と意識の戦いが、この小説上で繰り広げられていた。

ナンセンスに理屈をつける/あるいは理屈をつけるていのナンセンス……を入れるのは、当時社会主義国家だったポーランドで発表された小説だからなのか。
(個人の楽しみのためのナンセンスは許されない!みたいな)
それともレム氏のくせなのだろうか。
レム氏に関しては今までシリアスな長編ばかり読んできた僕は非常に戸惑った。

ただ、この短篇集は、それら長編に匹敵するほどのスリリングな思考実験が入っていることには間違いなく、この本を読みきった自分を褒めてやりたいのと同時に今まで読んでこなかった自分を罵ってやりたい。

【日記】15年06月29日(月) 体重60.3kg

乙女のごとく体重の上下に一喜一憂している。

五時起床。

五時二五分より公園を三九分ジョギング。
Quiet Sunのアルバム『Mainstream』を聴きながら走る。
嫌いなじゃない、むしろ好きな方面の曲なのだが、幼い頃からちゃんとした音楽教育を受けていない自分からするとちょっと淡白に感じてしまう。
料理で言えば、おこちゃまの舌なので味付けがしっかりされていないと「美味しい」と感じないのだ。

パスタを食べて仕事部屋から台所へ持っていく途中で、タバスコを床に落とし、消臭剤まで持ってきて大騒ぎ。
しばらくたっても匂いが消えないので振り向くと、床にベッタリとタバスコ痕が残っている。
しかもこぼしてから一時間経過したため乾いていていくら洗剤でこすっても落ちない。
家にある洗剤で落ちないのでそれ専用の洗剤を買ってくるか、白い塗料で上から消すしかない……
めちゃくちゃへこむ。

九時半に自転車で外出、一〇時に予約していた大泉学園の歯科、一一時に治療が終わる。
いったん帰宅してから業務用スーパーへ買物に向かう。
部屋の片付けなど終えてから、寝室で本を読み始める。
途端に睡魔が襲い、うとうとする。
読書睡眠症候群とでもいうべきか、僕にとって本を読むということは睡魔との戦いの歴史だ。
映画も九割以上の確率で眠っていたのだが、事前にトイレに入ったりカフェインを摂取したり周囲の集中力の削ぐものを排除したり観ながらノートにメモしたりすることによって、ここ数年前でようやく中断せず最後まで観ることができるようになった。
読書も映画と同じく集中できるような工夫をしなければ。
二二時就寝。

この日ほか記事一覧