ハインライン傑作集は全部目を通したと思っていたので、先日映画化された『輪廻の蛇』=『プリデスティネーション』を鑑賞して、
「原作と違う、どころかこんな話読んだことがない!」
とSHOCKを受けた。
確認のため、ハインライン傑作集第二巻であるこの『輪廻の蛇』を読んでみると、
「……この短篇集だけとばして読んでいなかったからだ!」
ということに気づいた。うへえ。
現代的にブラシアップされた新しく追加された要素含め、原作の短編より映画のほうがより深みのある内容だった。
それはともかくこの短篇集、他のアンソロジーで既読のものがいくつかあったがそれだけ優れたものが集められたということ。
間違いなく面白い。
『ジョナサン・ホーグ氏の不愉快な職業』
主観のゆらぎの描き方がディック的。
面白いけれどもページ数に対して内容が薄い。
『象を売る男』
ハインライン氏らしくない、ジャック・フィニイ氏を彷彿とさせる、強烈なまでのノスタルジック。
『輪廻の蛇』
『かれら』
冒頭の『ジョナサン・ホーグ氏の不愉快な職業』と同じく、ディック的な現実認識の揺らぎから今となってはありふれた感のあるオチ。
『わが美しき町』
ヤング氏のような甘い味わい。ハミルトン『風の子供』のような風や竜巻を擬人化する話、アメリカでは定番なのだろうか。
ドラえもんの台風のフー子の元ネタはむしろここにあるのかもしれない。
『歪んだ家』
SFアンソロジーの定番。