日別アーカイブ: 2015年7月23日

【本】トルーマン・カポーティ『ティファニーで朝食を』

この短篇集は、『冷血』に至る直前のカポーティ氏最後のイノセンスな輝き。
感覚的なところがあるので完全に意味を把握したとは言いがたいが、僕なりに楽しく読むことができた。

この短篇集は初期作品と『冷血』の橋渡しとなるもので、共通する要素を含んでいる。
カポーティ氏の小説に共通する要素……
田舎の閉塞感からここでない何処へ行きたくて辿り着いた都会で心を虚無に蝕まれる。
檻の外へ出たらまた新しい檻だった、そしていまの檻から過去の檻を懐かしんでいる。
表題作の『ティファニーで朝食を』にはそんな要素がまぎれもなく残っている。

しかし『ティファニーで朝食を』はそれだけではない。
それまでの自分の経験をもとに感覚的に描いた物語と異なり、ホリーのような実在の女性(他社の経験)を素材に使い、小説特有の大胆な飛躍をせず(小説技巧を制限)、実際にありそうなエピソードで構成されている。
文体もウェットものから、抑制した乾いたものへ。
カポーティは戦略的転換をはかったのだ。

長い活動期間に比して作品数が少ないのは、次第にカポーティ氏は手持ちのたまが少なくなっていったのだろう。
カポーティ氏は自在に物語を生み出すというより、体験/取材したことから作り上げるタイプだったのだ。
『ティファニーで朝食を』は小説(フィクション)の体をとっているが、それ以前の作品に比べるとはるかに現実に近い。
『冷血』の一歩手前といえるかもしれない。

『ティファニーで朝食を』は成功したが、さらにこの作品を越える素材を手に入れるため、陰惨な連続殺人事件を取材することになる。
連続犯に囚われ死刑に臨席し、『冷血』を完成させ、とうとうカポーティー氏は素材に飲み込まれてしまったのだ。

【日記】15年07月23日(木) 体重60.2kg

今日も全裸、左乳首をビィ〜ンビィ〜ンと弾きエアギターごっこにいそしむ。

台風の影響でずっと雨が降っている。
網戸の隣で寝ていると風が冷たく、何度も目覚めてしまい、明け方ガラス戸を閉める。
五時起床。
ジョギングにでない。
一日家にこもって読書。
夕方少し晴れてきたので、業務スーパーで買い物。
寝る直前まで読書。
二二時就寝。

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