【本】『冒険ルビ』手塚治虫

なんかすごいラストだった。

友だちのY君がビル管理人のバイトをやっていたとき、「このビルのテナントの鍵を全部渡せ!」とヤクザに恫喝された。
Y君は管理会社の上司に相談してその件は何とか事なきを得たのだが、そのときにヤクザの言い分が
「ワシはY君を試そうと思ったんや」
「Y君がワシの口車に乗ってそんな悪いことをする男やないってわかってた」
……いけしゃあしゃあとのたまっていたらしいのだが、この漫画はまさにそんな感じのラスト。

宇宙人から不思議なヘルメットとスーツをもらった小学生のルビオとクリコは宇宙怪物ゾンダと戦う。
アニメを原作とした漫画、タイアップで幼年誌に三本同時連載されたが結局アニメ化されることなく失意のうちに打ち切られたのこと。
手塚治虫漫画全集『ふしぎなメルモ』には 『小学一年生』版が併録されている。そのあとがきにて原稿を紛失してしまって一番面白くないものだけが残っていた……とのこと、おそらくこの本に収録されたもののほうが手塚氏のお気に入りなのだろう。
面白いかどうかは別にしてラストにはビックリさせられた。