【本】★『英雄誕生の神話』オットー・ランク

メモ:
重要なのは第三章、心理学的解釈における平均的な伝説の図式。

a.英雄は、高位の両親、一般には王の血筋に連なる息子である。
b.彼の誕生には困難が伴う。
(禁欲、長期にわたって子宝に恵まれない、外部からの禁止や妨害、長期にわたって子宝に恵まれない)
c.予言によって、父親が子供の誕生を恐れる。
d.子供は、箱、かごなどに入れられて、水に捨てられる。
(父親かもしくはそれに代わる者の命令で)
e.子供は、動物とか身分のいやしい人々に救われる。彼は、牝の動物かいやしい女によって養われる。
(いやしい人々はたいてい牧人。養われるとは乳を飲ませてもらうこと)
f.大人になって、子供は貴い血筋の両親を見出す。
g.子供は、生みの父親に復讐する。
h.子供は認知され、最高の栄誉を受ける。

神話においては、英雄と父親・母親の正常な関係が阻害されている。
子供は神話と同じような空想をする。(自分の本当の親に認められたい)
その空想は、幼少期の過大評価されていた時代への愛惜の念を表現している。
(成長過程で、子供は両親の庇護によって生まれた幸せな時期が消えてしまうから)
子供の空想(夢)、神話は密接に結びついている。
共通項はこの世界に生まれた理由。
アイデンティティについて語られているという点は同じだが、その差は個人か集団かということ。