【本】『どついたれ(全2)』手塚治虫

手塚氏の自伝的漫画の一つ。手塚氏以外のキャラクターもはっきりとしたモデルがいるらしい。
大阪大空襲の焼け野原から大阪を舞台に、手塚氏と彼に邂逅した男たちが戦後どう生きていくかを描こうとしたもの、読者の反応が芳しくないため途中で未完に終わっている。これから面白くなりそうなところでバッサリ終わっている。逆に言うと退屈とまではいわないが、この時点では面白くなりそうな取っ掛かりだけしかない。
この作品が幸せな形で完結することによって、その先に凄みのある私小説的作品を手塚氏がいくつも手掛けることになったのではないかと思うと、未完で終わったことが悔しい。