【本】小松左京『復活の日』

数年前からポツポツ小松左京作品を読み返したり、未読作品を読んでみたり。
この作品は僕にとって初読。
『日本沈没』『首都消失』と同じくSFというよりIF小説な色合いが強い。
もちろん小松左京氏らしいセンス・オブ・ワンダーも入っていて、世界で流行するウィルスの由来や結末はSFならではのアイデア。
生物学から社会学、国際政治まで知識の厚みが半端ないうえ稀有な文学的な素養もある、本当に稀有な作家だった……と今更ながら思う。

いろんな種類の人間を物語世界に放り投げ攪乱したその反応を丁寧に時間軸にそって描いていく、化学変化を観察するかのような小説。
自分的には寓話的な『日本アパッチ族』のほうがより好みなのだが。