【本】王城夕紀『マレ・サカチのたったひとつの贈物』

経済と量子力学と、詩的な物語世界の出会い。
発想の根幹は「奇妙な味」で、マルセル・エイメ『壁抜け男』のような奇譚で終わりそうな設定なのに、それをこういう方向(しかも長編!)に広げるのかという驚き。

王城夕紀氏の人生観がラストの一言に集結している。
もっとひねくれたもっとシュールな展開になってもおかしくないのに、こんなストレートなメッセージが来るとは……
僕には到底思いつかない展開、不思議過ぎる。
(こういうシュールな設定を思いつくことができる人が、何故ストレートなメッセージを伝えるのかという)