【本】『プラネテス(全4)』幸村誠

宇宙開発時代のあけぼの、地球の大気圏上でデブリ回収に携わっていた日本人ハチが人類初の木星探査隊の参加を目指す。

この漫画を初めて読んだとき、僕が何より驚いたのは、宇宙を舞台にしている物語なのにセンス・オブ・ワンダーがなかったこと。
宇宙飛行士が主人公なのにSFでないものが描かれる時代になったのか……と感慨深かった。
漫画でこれと類型のあるものがなかったので、大きなパラダイムシフトが始まっているのかも、と僕は思った。

もちろんその内容に説得力を与えるのは緻密な宇宙船/基地内部の描写だ。

そしてこの漫画以降、宇宙を舞台にしたSFでない作品がいろんな作家によって描かれることになる。

その先鞭をつけたという意味でもこの作品は重要だ。

最初は、キャラクターの目の位置が真ん中よりやや上で不安定に上がり下がりしていたが、後半は安定して真ん中になって、読んでいてホッとしたことも思い出す。