【映画】『ダラス・バイヤーズクラブ』

ロデオ・カウボーイ(典型的なアメリカ男)の主人公が、エイズに感染してはじめて自分の偏見に気づき、差別と向き合い、他人のために頑張ろうとする話。

『エイズ版シンドラーのリスト』あるいは『エイズ版ソハの地下水道』といったところ。

最初は自分自身が必要にかられて薬の売買をしていたのだが、次第にそういうレベルでなくなり、他人のために身を削ること自体が目的になって、主人公は「ダラス・バイヤーズクラブ」を設立、のめり込んでいく。

決定的に主人公の意識を変える出来事があるわけではないが、三歩歩いて二歩下がるようなスピードで彼は前進していく。

正直、最初は主人公を含め周囲の感染者の自業自得感が強い。
仲間と注射針をシェアしたり(ドラッグまみれ)、不特定多数の相手と性行為したり、エイズ宣告されても構わず女を引っ張りこんで乱交……

しかし聖人とは到底いえないような、普通に考えたら同情できない類の人間だからこそ、そこからの行動にリアルさがあるのかもしれない。