【映画】『ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金』

脳筋肉なジムのトレーナーが同じく脳筋肉な仲間とともに一攫千金を狙う話。

カット割りが多すぎて落ち着いて観ることができない。
ここまで多くすることの意味は観客を映画世界に没入させるというより、演出された作り物だということを強調したいためだろうか。

画面の端に黒いものが見切れたり、登場人物が意味ありげに顔を振るところが画面の端でおさまり悪く切れてしまったり、ガサツな演出が多い。
おそらくアドリブ感覚、未完成な部分を残したままの「今、この瞬間のリアル感」を醸し出しだすためだとは思うが……そういうノイジーな情報も含め、情報過多で最初に起こった出来事を覚えることができないほど。

アメリカ人のマッチョな上昇志向を徹底的に皮肉っている。
作戦の失敗をごまかすためにより大きな犯罪に手を染めていく様の既視感。
「お前が悪い!」と八つ当たりして、仲間内で責任転嫁を繰り返す。
ああ、イラク戦争下のこれブッシュ政権でよく見た光景だ。

こういう映画を自覚的に作るということはマイケル・ベイ監督、おそらく『トランスフォーマー』シリーズのデタラメさも確信犯なのだろう。
「みんなが気に入りそうな映画を、周囲の要望をできるかぎり入れて作ったらこんなん出来てしまいました!」と半笑いで言うような。