【映画】『ミツバチのささやき』

独裁政権下のスペイン、ホラー映画『フランケンシュタイン』に夢中になった少女アナが、現実と幻想の狭間の世界で、自分の生きる道を見つけようとする話。

非常に強い感銘を受ける。
人生の中で記憶に残る数少ない映画。

宮崎駿氏の『となりのトトロ』がこの映画の影響があると言われているが、僕はこちらのほうがずっとお気に入り。

廃墟の納屋の前で心なさげなアナの佇まいが、身震いするほど愛おしい。

アナの姉イサベラはネコをからかって遊んでいる最中に引っかかれる。
イサベラは吹き出した血で唇に朱を塗る。
子供から成長して女が見える瞬間。
そして死んだふりをしてアナをからかう。
主人公は死を弄び、からかったイサベラを拒絶する。
そして、納屋での「精霊」との出会い、触れ合い……死。

自分が小さい頃、死ぬことが急に怖くなって眠れなくなった記憶が蘇る。
確かに幼かった頃こそ、生と死の距離を近く感じていた。

数年前からこの映画をずっと探していたのだが、この映画を観るための手段が極端に少なくて、最終的にTSUTAYA新宿店でビデオテープを借りてきて鑑賞した。
ビデオテープが傷んでいるためなのか、ビデオデッキが古いためなのか、そもそも元のフィルムが傷んでいるためなのか、鑑賞中、常に画面がぶるぶる震えていた。

一番ラスト、「精霊」と邂逅するシーンもずっとアナはぶるぶる震えていていたのだが、それは実際の画面上の演出だったのだろうか?