【本】『手塚治虫 原画の秘密』手塚プロダクション (編集)

切り貼りにもほどがある。
コピーを使うとかや再編成しやすいコマ割りで描くとか何とかならなかったのか。
切り貼りを前提としている漫画の作り方がよくわからない。

記憶は最新の完成原稿で上書きされていくものだから、どういう推移で変更されていったのか、当の手塚氏も完全には把握できなかったのではないか。
手塚氏があと一五年、いや一〇年長く生きたならいち早く原稿をデジタル化したことだろう。
ここで行われていることのほぼ全てをデジタルで代替可能なことだから。
(しかも元の原稿から劣化することはなく、前の段階の原稿にも容易く戻すことができる)

シノプシス(あらすじ)メモからネーム、下描き、完成原稿、修正原稿、印刷された原稿
へのグラデーションが興味深い。

手塚氏が感性重視でなく理屈の人で、絵がセリフに従属している作り方をしていることがわかる。
紙に描いた絵に溺れることなく、物語側から漫画をしっかりとコントロールしている。