【映画】『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』

主人公が父親とネブラスカへの旅を通じて、父親や周囲の人間のいろんな面、新しい事実を知って成長する物語。

久しぶりに訪れた故郷で暖かく出迎えてくれる、友達、親戚一同。
しかし宝クジの当選者だとわかると同時に本性を露わにする。

お金をたかろうとする親戚に、毅然として全て論破、
「ファック・ユー!」
と最後に言い放つ主人公の母親。
病室で横たわる父親の頬にそっとキスするところなど、冒頭の太った老婆の憎らしい雰囲気が霧散してしまうほど、可愛らしい。

一見とっつきにくいリアリストの兄や母親が本当は父親のことを考えていて、優しげに近寄ってくる親戚や友達こそ、底に打算や悪意がある。

そして一見、何も考えていないように見える父親。
子供のことを考えていないようで、女性のことも興味が無いようで、しかし、いい意味でも悪い意味でもその先入観は覆される。

物語の最深部に到達して初めて主人公は、父親が何故そこまでお金が欲しかったのか……その理由が自分たち子供のためであることを知る。

そしてラスト、ある行動を通じて主人公は現実で得難いものを手に入れ、帰還するのだ。

そういえば僕も先週、父親とふたり車で往復三時間、おじさんの墓参りに行ったのだが、相変わらずお互いのことを話さず、地名や昼飯に何を食べるか……ぐらいの会話しかできなかった。

『橿原市 ふたつの心がつながらない旅』だった。