【夢】綺麗な夕日だが、雨が降っている。

見上げると厚い雲。
時折、雷。
雲間から飛行機の巨大なエンジン音。
羽田への飛行コースらしく、地平線に向かって何台も飛行機が飛んでいる。
突如、ドーン!と衝撃音。
飛行機同士が衝突、爆発。
天候が悪く着陸できなかった飛行機が空の渋滞でニアミスしたのだ。
折り重なってゆっくりとビルの谷間、すぐ隣りの通りに落ちていく。
スローモーションで落下しているためか音が分解されて聞こえない。
すごい事件に遭遇したと僕は興奮している。
突然、弟が修学旅行で東京へ来ることを思い出す。
この飛行機にもし弟が乗っていたら……と心配になってくる。
墜落現場は新宿駅のすぐ近く。
いつのまにか母親と合流。

時間は午前0時過ぎ。
連絡するため、弟が宿泊するホテルを探して駅前の交番に入る。
「ホテルが多すぎてわからない」
と言われてガッカリする。
周囲を見ると、数本のバットが壁に立てかけられている。
蒼く色を塗っているが、ところどころペンキが剥げ白地が見えている。
「趣味の草野球でバットに自分で色を塗ったんだ」
警官は嬉しそうに笑う。
しかし
「この交番は石油ストーブで暖房しているから暖かいですね」
僕がおどけてぴょんぴょん跳ぶと
「ここは下が民家だからやめろ!」
と警官は怒る。
新宿だから土地が狭いのか、雑居の交番なんて聞いたことがない。

結局、弟のホテルを見つけることができなかった。
母と一緒に、駅近くの僕が宿泊しているホテルに戻る。
弟が泊まるホテルの書いたメモを荷物から発見。
新宿駅から八分、一階が中華料理屋のホテル玉蘭とだけ記載されている。
墜落現場の通りにあるホテルに泊まっていたのだ。
たとえその飛行機に乗っていなくとも墜落によって何らかの被害を受けたかもしれない。
心配が増すなか、何とか弟と連絡を取ることに成功。
「大きな音は聞こえたけど、ホテルの中だったからわからなくて交通事故だと思っていた」
僕と母は安心する。

深夜なので大事故の割に墜落現場は人がまばら。
今のうちに写真を撮っておかないと……と僕は考えている。
乗客の安否に意識を移すと、いつのまにか僕は乗客の一人になって事故を経験している。
衝撃音。
落下、飛行機の中は無重力になる。
空中に水が球になって浮いている。
子供がくるくる回っている。
それから来るであろう衝撃の恐怖に僕は恐れおののいている。
シートベルトを慌ててつける。
どうすれば助かるだろうかとずっと考えている。

130321.jpg