【本】『プライム・ローズ(全4)』手塚治虫

はるかな未来の地球、戦争しているグロマン人とククリット人はお互いの国の王子と王女を交換する。元はグロマン王女だったエミヤが主人公。しかし対比して描かれるはずのピラール(元はククリット王子)が、中盤から登場するタンバラ・ガイのキャラクターによってうまく機能しないまま物語が終わってしまう。
手塚氏の考えによると、イースター島には二つの民族が敵対していて、戦争で勝った民族が負けた民族を奴隷にしてモアイを作らせた。モアイのような無意味なものを強制的に作らせることにより反逆を殺ぎ、民族淘汰に利用したのだ……そんなこの物語のキーとなるはずだったエピソードも途中で放棄されている。
『ブルンガ2世』『未来人カオス』『アポロの歌』など手塚氏の漫画に繰り返し現れる、人間を試し駒のようにもてあそぶ超越した存在が今作にも「悪魔」として登場する。この未来世界の創成に関わる「悪魔」とも決着をつけることはない。
いろんな伏線をほったらかしてタイムマシンでなかったことになりました!というラストに憮然としてしまう。

手塚氏いわく「SFを意識して描くと、必ずといっていいほど失敗する」ので、今作は「SFをあまり意識しないで描こう」としたとのことだが、読んでみると出だしからいかにノリノリのSF。だから失敗した?

P.S.グロマンって言葉、よく考えるとすごい。

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