【映画】『愛は霧のかなたに』

二、三年前からTSUTAYA DISCASを利用している。興味をひいた映画をスナック感覚でサクサク予約、観終わるたび新しいDVDが送られてきて探す手間いらずで重宝している。
しかし何でもかんでも予約し過ぎて溜まった未鑑賞の映画が二〇〇本ほど、もはや送られてきても何故自分がこれを借りようとしたのかわからなくない。

この映画も送られてくるまで恋愛映画と思っていて、パッケージの、マウンテンゴリラを抱きしめるシガニー・ウィーバー氏の写真を見てギャフン! 霊長類観察に命をかけた女性生物学者の実話を映画化したものだった……

危機に陥ったとき流れる音楽が電子音なのが八〇年代っぽい。ピコピコピコピコ♪

最初はどうしても主人公に感情移入してしまうから、自然保護区に住むゴリラを執拗に襲い続ける現地人に怒りが向けられる……が、よくよく考えてみると、どうして現地の人がそうせざるを得ないのか、という視点がすっぽり抜けているような。
ゴリラ狩りを禁止したり許可したりが行き当たりばったりの政府なら、現地人はゴリラを密猟することがいけない理屈もわからないだろうし、そもそも地元に産業がない。
この映画で描かれている白人は自分の気持ちを押し付けるだけで、どうして彼らがそんなことをするのか根本的に理解しようとしない。日本のイルカ漁に反対してシー・シェパードが和歌山の太地町で行っている活動みたいなもの。
「私のゴリラを返して!」ってお前のものじゃないよ! 
行き過ぎた部分も含め彼女の行動をどちらかと言えばよきこととして描いている映画の姿勢に感情移入できない。

それはともかくとしてジャングルでシガニー氏が実際のゴリラの群れと触れ合うシーンはスリリングだった。映画の撮影それ自体をドキュメントとして観たい。
とくに威嚇して雄叫びをあげるボスゴリラの迫力ときたら……と思って調べたらこちらのほうは人が入ったぬいぐるみの特殊効果。これはこれですごい技術だ!