【本】『漫画生物学』手塚治虫

筒井康隆氏の『私説博物誌』、あるいはカート・ヴォネガット・ジュニア『チャンピオンたちの朝食』を思い浮かべる。
気持ち程度に解説をつけて、生物の話をお題にしたショートストーリー(小咄)のオムニバスが主体。
後半の「漫画天文学」は六〇年前に描かれた天文学が、現在とずいぶん違うことに感慨深い。
現在では赤色巨星は恒星の最終段階直前なのだが当時は生まれたばかりと思われていた、金星は霧と雨に包まれている星だと思われていた、などなど。
学習誌に連載していたせいかコマ割りが細かくて読むことに骨が折れるが、絵は可愛らしくまとまっていてショートストーリーも完成度が高く、読んでいてお得感がある。