【本】『やけっぱちのマリア(全2)』手塚治虫

本棚の奥から秋田書店版を引っ張り出してきたら「SFコミックス」と銘打たれていた。手塚氏自身は日本初の少年誌連載の性教育漫画!という意気込みだったのだろうけど。
この漫画、誰が得するんだろう。子供は性教育部分を説教臭くてとばしてしまうし、主人公がダッチワイフって時点でPTA推薦図書にはなり得ないし、手塚氏も一二回で打ち切られてしまうし、肝の性教育に関する知識もいま読みかえすと偏見に満ちているし。主人公のマリアも、ヤケッパチに好きな女の子ができたらすぐに捨てられてしまうし!
捨てられると言っても比喩ではなく本当に捨てられてしまう……ボロボロになったダッチワイフのマリアが箱に詰められ川に流されていくところでラスト。神話の誕生みたいでちょっと格好いい。
僕のなかで『やけっぱちのマリア』は、ここから『どろろ』がはじまる前日譚ということにする。

たとえばこんな知識。

たとえばこんな知識。