【本】『おれは猿飛だ!(全2)』手塚治虫

あとがきより、連載当時すでに忍術と妖術をごっちゃにした忍者モノは(連載が)「終わってホッとするほど」「アナクロニズム(時代錯誤)のはなはだしいもの」だったということだが、よほど不本意だったのか作品発表から二〇年後の全集刊行の際に流行りを取り入れて描き直し、「奥の手ジョーズの術!」「南蛮秘術エイリアン!」「忍法スターウォーズ!」と登場人物に叫ばせている。
それがかえって「アナクロニズム(時代錯誤)のはなはだしいもの」を際立たせていると僕が思ったこの全集版が出てからさらに三〇年後のいまの話。