【夢】僕は誰かと道路の右側を歩いている。

誰と歩いていたかは思い出せない。
道路の角を右に曲がろうとするとバス停がある。
歩行者の歩く白い線ギリギリにバスが通り過ぎ、何台もバス停に向かってくる。
僕は両手で大きな絵を運んでいるため、バスに当たりそうで危ない。
対向車線の向こう側もバスが連なって並んでいる。
いつの間にか曲がり角は絵の展示会場になっていて、搬入していた大きな絵を壁にかけ、誰かと話しながら僕は絵を観ている。
近づいて鑑賞していると、二つ隣の絵が壁からパタンと落ちる。
(僕のせいじゃないのに……)
と思いながら慌てて絵を壁に直す。
手塚治虫氏がプライベートで描いた絵画(僕の夢の中の存在)がたくさん壁にかけられている。
群衆が細かく虫みたいにワラワラと描かれていて、
「松田の絵みたいやな」
と同じゼミの先輩が言う。

引き続き絵を観ていると、いつのまにかそこで大学の授業の合評が始まっていて、静かにしなければならない雰囲気だ。
皆座って教授の話を聞いている。
僕の座っている近くで、なぜか祖母が座っている。
静かにしなければならないのに、みんなの前でしきりに話かけてくる。
「うちの人の命日、忘れんとってな」
「一二月の今月中やで」
(夢の中では、今が一二月のようだ)
「今月の三七・五日目やで」
違和感を感じて僕は聞き返す。
「え? 今月は三一日までじゃないの?(というか「・五」は半分ってこと?)」
祖母は僕の言葉が聞こえるのか聞こえないのか、
「今月の四二日目やで」
何度聞き返しても、日にちこそ多めだが今月中の何日目と主張する。
「おばあさんおじいさん死んだのって年またいでからじゃなかった? 一月か二月。僕覚えているよ」
と言うと、
「みんなの前だからぼかして言ってたのに!」
癇癪を起こして手に持った巾着袋を投げつけてくる。
祖母は普段おとなしい人なので、たいそう驚く。