【本】ジョン・ウィリアムズ『ストーナー』

ずっと涙が止まらない。
これは文学的感動なのだろうか? 
この本は人生を追体験させる装置のように作動している。

この涙の量は人生に比例すると思う。
一〇年前に読んでもそれなりに感動しただろうけれども、絶対に今ほどでない。
僕のような空虚な人間であっても降り積もる時間と経験の重みがあるはずで、この小説はきわめてたくみに切り取って目の前につきつける。

主人公の人生の経験を、都度の自分に当てはめ思いを馳せる。
人生には悲しみがある。でも逃れることはできない、生きていくしかない。諦観とほのかな希望。