【本】倉田タカシ『母になる、石の礫【つぶて】で 』

全体から細部に向かって描写する定石の描写をしない。
ものすごく手前のことしか描写しないので、最初は何が起こっているか理解できなかった。
一〇〇ページ超まで読んでよくわからなくなったので、また冒頭から読み直す。
冒頭に戻ると、いくつかの事象についての説明を読んでいるので理解しやすくなった。
いつものペースで読まず、ゆっくりめに、何が起こっているか正確に確認していく読み方をして足掛け六日……
普段の数倍の時間がかかったけれども、ちゃんと内容を把握した上で最後まで読むことができた。

この作品と同じ第二回ハヤカワSFコンテスト出身の、柴田勝家『ニルヤの島』が理解できなかった自分。
もういまのSFについていくことができなないのではないかと不安に思っていた矢先だったので嬉しかった。

この小説に関しては、自分が絵を描く人だからどんどんバージョンアップされていく視覚情報に混乱してしまった。
作者は絵を描く人らしいので、その喚起するイメージが悪い方に僕とバッティングしてしまったのかもしれない。