【映画】『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』

当時を知らない僕は想像するしかないけれど、スターウォーズ旧三部作ってアメリカン・ニューシネマの流れを一気に吹き飛ばしたような映画で、六〇年代商業主義的映画の復活が当時は「懐かしくて新鮮」だったのだろう。それは寺沢武一『コブラ』のような「新しいビンに入れた古いブドウ酒」のようなもので、定番の神話的な物語を、最新のデザインと技術で見せる……しかしコンセプトの新鮮さはそれ自体が八〇年代ハリウッド映画に浸透し定番になって陳腐化していった。旧三部作と同じようなことをやっているのに新三部作の『ファントム・メナス』を映画館で観たとき「ふる!」と叫んでしまった。
でも『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は前作の『フォースの覚醒』でがっかりしていたぶんを取り戻した感があった。新鮮さが確かにあった。
カイロ・レンとレイの会話がよかった。
エピソード4以来、やっとスター・ウオーズがスカイウォーカー一族(選ばれた人たちが活躍する神話)から解放され、名もない僕側に物語が戻ってきたのだと思って、泣けて泣けて仕方なかった。
修行をしたとは到底思えない子供みたいなルークの態度や無意味なフィンの行動や馬鹿な行動を繰り返す反乱軍と帝国軍……エピソードの問題は山ほどあるけれど、あの会話だけですべて許せる。