【夢】上京して一番最初に住んでいた沼袋のアパートを、僕は久しぶりに訪ねる。

アパートは廃墟と化していて、アパート裏の空間がジャングルになっている。
建物の隙間から日光が差し込み、生い茂る樹々を極彩色に照らしている。
アンズやアケビなど果実がぶら下がっている。
ひとつもぎ取って齧ると口蓋に広がる刺激的な甘味。

甘酸っぱさで、これが夢であることに僕は気づく。
「目覚めたらこの風景を忘れてしまう! ちゃんと記録しとかなくちゃ……そうだ写真を撮っておこう!」
バシャバシャとカメラ撮影を始める。
このあたりから現実と夢の境界線が曖昧になり始める。
布団に横たわって眠る僕と撮影している僕と認識が交互に繰り返し、最後に強く眠りから現実に引き戻される瞬間、
「目覚める前に夢だと気づいてよかった!」
安堵しながら撮影した画像をパノラマで見返しているうちにそれ自体が夢だということがわかり、僕は落胆する。