【本】『 奇才ヘンリー・シュガーの物語』ロアルド・ダール

数年前、異色作家短編集の『キス・キス 』を読み、なんとも言いがたい読後感に興味を持ち、続けて『あなたに似た人』を読んだ。
どちらも印象に残ったのに、見事なまでに具体的な物語についての記憶が欠落している。
言語化できない感覚だけ残っている。

この短篇集からも……特に『ヒッチハイカー』と表題作の『 奇才ヘンリー・シュガーの物語』を読んでいるとその不思議な感覚が蘇ってくる。
本を閉じた後、読んだ内容を咀嚼するために宙を見つめるが、どうも消化しにくくストレートに言葉で表現できないもやもやとした感情が僕の中で渦巻いている。
奇妙な味、そのものの作家。