【映画】『鑑定士と顔のない依頼人』

後味が悪い映画であっても問題提起が哲学的に止揚され結果としていい映画になり得ることはあるけれども、この映画は悪い意味で後味の悪い映画。
「策士策におぼれる」といったところ。
映画として、とくに演出はよく出来ていると思うけれども、解釈のわかれるこのラストに必然性がない……ただ単に解釈をミステリアスにするためだけに作られた「自己目的化した曖昧さ」だ。
「いかなるニセモノの中にも必ずホンモノが隠されている。見抜けなかったあなたはすでに過去の遺物」
というメッセージが上滑りしている。

ジュゼッペ・トルナトーレ監督『ニュー・シネマ・パラダイス』には泣かされたけど、端々までコントロールされているにも関わらず何も心に響かないこの映画を観ていると、あの映画を観た体験自体この映画のようにニセモノだったような気がしてくる。

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