【本:漫画】『羊の木(全5)』山上たつひこ(作) いがらしみきお(画)

僕は山上たつひこ氏のドンピシャ世代ではない。
ちょっと後の鴨川つばめ『マカロニほうれん荘』が小学生時代一番はまったギャグ漫画なのだが、それさえ僕が読んでいた頃は連載が終わって数年が経っていた。
リアルタイムに読んでいた頃の山上たつひこ氏作品で僕が一番好きだったのは『ええじゃない課』。
高校以降は『喜劇新思想体系』『鉄筋トミー』『金瓶梅』などをつまみ食いするように読んでいた。
そんな二〇年ぶりの山上たつひこ氏の漫画。
(いがらしみきお氏は去年『ぼのぼの』と『I【アイ】』を読んだ)

登場人物が多いけれども混乱しないように工夫がされていて非常に読みやすい。
とある地方都市に元犯罪者たちが集まる。
その街で連続殺人が起こる。
過去と現実の軋轢から、貴志祐介氏の『悪の教典』『クリムゾンの迷宮』のような心理的なサスペンスに向かうかと思っていたらそうでもない。
謎解き的な展開はそれほど重要じゃないようで、いくつか謎を残したまま一応の終わり。
一筋縄でいかないのが山上たつひこ氏らしい。