【本】『ショートショートの世界』高井信

ショートショートは中学生の頃むさぼるように読んでいた。
大人小説の読み始めとリンクしていた。
筒井康隆氏、都筑道夫氏、小松左京氏、星新一氏、豊田有恒氏……「ショートショート」と銘打たれた本はかたっぱしから読んでいたように思う。
高校、大学と経るにしたがって、自分の好みが長編志向になっていき物足りなくなくなり読まなくなっていった。
しかし、ショートショートは自分の原型を構成するもののひとつであることにはかわりはない。
もちろんこの著者の高井信氏の著書も読んでいた。

高井氏の言う八〇年代半ば以降のショートショート冬の時代と自分が読まなくなった頃がリンクしている。
確かにショートショートは時代に求められていたものと逆行していたのかもしれない。
長編志向が強くなった漫画、映画より長編ドラマが作られる時代、読み手からしても当たり外れのある短編を読むより連続性のある(前提がわかっている)長編のほうがわかっているだけ楽だ。

しかしさらに現代、それと逆にショートショートも広がる余地があると僕は考える。
スマホで、タブレットで情報を得る時代、長編よりショートショートを読むことの方が生活スタイルに合っているのではないか。
電車で移動中しながら軽食を取りながらトイレで一服しながら、軽くショートショートを読む時代が来るかもしれない。

今年中とはいかないが、ショートショートはいつか系統立てて読むつもりなので、そのときのためのガイドブックとして本棚に仕舞っておくことにする。