【本:漫画】『地球戦争(1~3)』小原愼司

今まで僕は勉強不足のため小原愼司氏を寡聞にして知らなかった。
去年、かろうじてトニーたけざき氏(画)で小原愼司氏(作)の漫画『星のポン子と豆腐屋れい子』を読んだのみ。

初めて本を開き絵を見て大層驚いた。
新人かと思ったらそうでもないようだ。
達者とは言えない絵……どう捉えたらいいのか最初はわからなかった。
なのにこれだけキャリアがあるということはこの絵にも意味があるのだろう。
読んですぐ作品世界に引きずり込まれていく。

キャラクターが生きている。
設定がいまどきの子供受けするかはわからないけれども、これは紛れもなく少年漫画の面白さだ。
しかも子供向けで終わらず大人でも楽しめる、万人向けの、普遍性を持った面白さ。
絵は確かに達者でないけれども、きっちり描かれていないことによって補完させる想像の余地が生じる。
そういう意味ではこの物語にこの絵は合っている。

想像の余地と言ったが、この物語はまだ始まったばかりで描かれていないことがたくさんある。
しかし、その時点で伝えるべき情報を作者が惜しげも無く見せ、能動的なキャラクターが真実を探そうと動くので、読者にストレスを感じさせない。
読者が知りたいこととキャラクターが知りたいことがちゃんと一致している。

先が読みたいという衝動が湧いてくる、久々に(子供の頃思っていた)漫画らしい漫画を読んだ。
小学生のころ、H・G・ウェルズ『宇宙戦争』や ジョン・クリストファー『トリポッド』を読んだワクワク感を思い出す。