【本:漫画】『シドニアの騎士(1~2)』弐瓶勉

一〇年ほど前、絵に惹かれて弐瓶氏の単行本『BIOMEGA』を表紙描いした。
スタイリッシュな絵、意味ありげなタイトルやキーワードに魅力を感じた。
しかし絵と物語の個性が強すぎて何が起こっているのか一読で把握しがたく、困惑した。

一〇年前振りにまた弐瓶氏の今作を読んで、僕にとって難解なことに変わりはなかった。
なかなか手のうちを見せてくれない。
それは絵も物語も同様で、絵は大きく俯瞰で見せてくれない、物語は進行中の情報しか見せてくれない。
情報を強力な弐瓶勉フィルタで厳しく取捨選択している。
僕の思う、絵とストーリーが比例しているタイプの作家。

こんな面白い設定かつ好きになりそうなデザインやガジェットで満ちているのに、作品世界に入り込めず悲しい。
その悲しみは、いまプレイ中のFF13に対して僕が思う気持ちと共通している。