【本】『暴露:スノーデンが私に託したファイル』グレン・グリーンウォルド

米国家安全保障局(NSA)によるサイバースパイ行為を暴露したスノーデン氏。
年収二〇〇万ドルの仕事を投げ打ちアメリカを捨ててまで何故こういう行為をしたのか、彼の動機がはっきりとわからない。
政府の情報公開問題と戦い続けた反骨の著者グレン・グリーンウォルド氏は困惑している。

スノーデン氏は当初、ジョセフ・キャンベル『千の顔をもつ英雄』(リンク)の影響を挙げ、神話に慣れ親しんだ自分が人間として取るべき行為を考えて……と語っていたが、グリーンウォルド氏がそこでもうひと突っ込みすると、実はゲームの影響だと白状する。
自分の力だけで敵に挑んでいく姿勢、正義感……ゲームが描いている思想/物語のバックグラウンドにある『千の顔をもつ英雄』にスノーデン氏は共感したとのこと。
スノーデン氏は日本語を学びNSA在籍時に日本で働いていたが、それはゲームを始めとする日本文化に傾倒していたからで、
日本文化、もっと具体的に言えばビデオゲーム文化……『鉄拳』や『ファイナルファンタジー』の主人公に感情移入し育まれた使命感や正義感から、歴史に残る暴露事件を起こしたらしい。

現代的といえば現代的だが……ひと昔前のもっと真っ直ぐな価値観からスノーデン氏の動機に必死に辻褄を(整合性を)合わせようとしている、グリーンウォルド氏の姿勢が興味深い。