学生の頃、友だちに勧められて観たとき、ピンとこなかった。
今回観直してもやっぱりピンとこなかった。
だけれども単純に面白くない、と言ってしまうには言い切れない……変な噛み切れなさが口の中に残る。
作っている人たちの志の高さはわかるのだけれども、理屈が先に出すぎていて面白さがついてこられずにいる印象だ。
暗殺者から逃げるシークエンスは、メリハリがなく唐突に始まったり終わったりを繰り返す。
僕と映画の間で感情移入ポイントのズレのようなものがあり、それが違和感になって、主人公が逃げているシーンも、夢の中のように身体がうまく動かないもどかしいものとして伝わってくる。
映画全体に(おそらく意図的でない)夢の中のような浮遊感で満ちている。
意図の消化不足のせいだろうか……しかし今の基準から見てもじゅうぶん高い技術で作っている。
その高い技術力を持っても到達できなかった志の高さということか。
そこまでの志の高さに当時どこまで勝算があったのかわからないけれども、それでも戦いをいどむ姿勢に対しては凄みを感じる。