【本】『ワインズバーグ・オハイオ』シャーウッド・アンダソン

ブラッドベリ『火星年代記』あとがきよりこの小説を知る。
風景画に点景で描かれた人間のように、オハイオ州の架空の町ワインズバーグを舞台にそこで生活する住人たちを描いている。

一番中心に描かれている新聞記者、そして学校の先生と牧師が絡む一連のエピソードは面白かった。
さらに物語が連鎖して有機的に広がっていけば、もっと僕好みの小説になったのだが、意外と個々の登場人物の関連は希薄で、中心となるべき大きなイベントも無く淡々と物語が進む。
平凡だが少しいびつな(逆説的にだからこそ平凡である)住人はそれぞれの夢を追いかけているが、現実に押しつぶされ街にへばりつくようにして生きている。

ラスト、主人公は夢をかなえるためにはこの街から出ていかなけれはならないことを知る。
列車が遠ざかるに連れ、恋人や家族のいる街が意味を失い点になっていく……
僕自身が上京したときのことを思い出し、切ない。

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