【映画】『フィールド・オブ・ドリームス』

初めて観た時は学生の頃、登場人物が歳上なうえに興味のない野球選手の話で誰に感情移入したらいいのかわからなかった。当然面白くなかった。
それから二〇年以上振りに鑑賞、現在の自分はケビン・コスナー演じる主人公とほぼ同世代になり同じく人生の曲がり角、重なる部分が多いことに気づく。
野球選手にも、自分に当てはめるとこういうことを指しているのだなと思い観ていると、こちらにも自分と重なる部分が多くて泣きたくなってくる。

レイ・ブラッドベリ小説のような印象。
妄執にとりつかれた登場人物が、周囲の人には不合理としか思えない行動を続け何かを達成しようとする。その行動が知らない間に世界に波及し、常識とらわれている人たちは世界に取り残されてしまう(場合によっては偏見から解放されたりもする)……

地味だけれども心を打つ演出が素晴らしい。
現在流行りのスタイリッシュなCGでさとうきび畑から人が出入りしたらさぞかし興ざめなんだろうな。
ラスト、キャッチボールに誘うところに涙がツーっと頬を落ちていく。
僕はまだ親が生きていることに感謝して、帰郷した際に少しだけ優しく接しようと思った。