【本】『発狂した宇宙』フレドリック・ブラウン

二〇年ぶりに再読、その時の印象と同じ。
普通につまらない。
一九四九年、今から六五年前の多次元SF、発表当時はそのアイデア自体が斬新だったのだろうが……あまりにも使い古されすぎて解説の筒井康隆氏が激賞する面白さを今は片鱗も味わうことができない。

そもそもストーリーがいきあたりばったり風でとりとめなく感じる。
同じフレドリック・ブラウン氏の『火星人ゴーホーム』『七三光年の妖怪』にアイデアの経年劣化をさほど感じないのは、構成がよく練られており物語的な感動で底上げされているからだろうか。