【本】『銀河パトロール ジャコ』鳥山明

ペン入れからパソコンで仕上げたフルデジタル原稿と思われる。
デジタルのよい所わるい所両方が散見できる。

デジタルのよい所
1:拡大縮小を繰り返すことによって、細かい部分を限界まで描くことができる。
2:トーンを貼ることが楽。
3:テクノロジーに対する興味、新しい表現ができる

デジタルのわるい所
1:拡大縮小を繰り返すことによって、線の強弱がコントロールしにくい。線の不統一がどうしても目立つ。
2:トーンを貼りすぎてしまう。
3:手軽で効果を上げる技法(写真の背景加工など)を多くの人が集中的に行うため、似たような作品になりがち。
アナログなら簡単にできるペンの表現にやや難がある(抜きが綺麗に出ない、線がよれよれになる)。
筆を使ったタッチ、マチエール(素材・材質によってつくり出される美術的効果)を使った表現をパソコン上で行うことは困難。

年配の漫画家さんが老眼で遠ざかった原稿描きに、絵を描きながら拡大縮小できるのでデジタル化することによって復帰している向きもあると聞く。
悪いことばかりでもないようだ。

物語の構造自体は『COWA!』『SAND LAND』と似ている。
トラウマを抱え世捨て人となっている男が、若くて向こう見ずな異人種と力を合わせ大事件を解決、トラウマを乗り越える。異人種は故郷に戻る。男は元いた場所にとどまるが、事件を通じて社会とのつながりが少しだけできる。

地味だが面白い。
しかしもはや自分は鳥山明氏に関しては小さい頃からの思い入れ懐かし補正が強すぎて純粋に読むことができない……